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  <title>企画部屋</title>
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  <description>ｻｲﾄでの小話の収納場所です。企画と平行してUPしていきます。</description>
  <lastBuildDate>Mon, 07 Apr 2008 15:17:46 GMT</lastBuildDate>
  <language>ja</language>
  <copyright>© Ninja Tools Inc.</copyright>
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    <item>
    <title>ナゾ清：ほのぼの/甘…?/コメディ</title>
    <description>
    <![CDATA[<br />
暖かな日々に一時の感謝を<br />
<br />
----------------<br />
<br />
「清麿、お茶はまだかい」<br />
「だああああ何で俺がお茶酌みしなきゃなんねぇんだよ！！」<br />
「はっはっは！　それは君がナゾナゾを答えられなかったからさ！」<br />
「ぐああああああ畜生――――ッ！！」<br />
この問答も、早数十回。<br />
清麿は不満を前面に押し出した無愛想な顔で、紅茶を四苦八苦して淹れていた。<br />
（くっそぉお&hellip;&hellip;ここにガッシュがいたらザケルを食らわせてやるのに&hellip;&hellip;）<br />
事の始まりは、数時間前。いきなり家にやって来た目の前の憎たらしい老人、ことナゾナゾ博士は、呆気に取られた清麿に構わずナゾナゾを出題してきたのだ。<br />
ここでもう意味が解らないが、どう説明してもこういうしか無いので仕方ない。<br />
兎も角、そうしてナゾナゾを出題してきたナゾナゾ博士だったが、清麿には答える義理も人情もなかったので放っておこうとした。するとこの小憎らしい老人、こう言って来たのである。<br />
『おやあ？　清麿はこんな簡単でおバカさんでも解けるような問題が解けないというのかね？』<br />
――こう言われては黙っていられない。<br />
いや、黙っているべきだった事は今本当に理解しているので、突っ込まないで欲しい。<br />
悪いのは清麿の意地っ張りな性格である。<br />
そうしてまんまと乗せられてしまった清麿は、結局の所その「簡単な問題」が解けずに、いつのまにか付けられていた罰ゲームに従ってナゾナゾ博士に茶を淹れている訳であるが。<br />
（理不尽だ&hellip;&hellip;理不尽すぎる&hellip;&hellip;）<br />
どう考えても、どうして自分がここで茶を淹れているのか理解出来ない。<br />
可愛らしいティーカップの取っ手を引き抜きそうになりながら持ち上げる清麿を知ってか知らずか、ナゾナゾ博士はいつもの人を小馬鹿にしたような笑みを浮かべた顔で急かす。<br />
「はーやーくー持ってきてくれないかーなーぁ？　はっはっは！」<br />
「あああああああ　ムカつくぅぅうう！！」<br />
折角町の景色が一望できる小高い丘にいるというのに、素晴しく気分は悪い。<br />
それもこれも、どこから持ってきたのか知らないが高そうな白い椅子に座ってテーブルに肘を着いているあのムカつく老人のせいである。<br />
清麿はもう少しで般若になりそうな顔を必死で抑えながら、零さないようにポットからカップに紅茶を注いだ。普段することのない行為なだけに、手が震えてすぐに零しそうになる。<br />
服に染みを作らないように注意しながら、清麿はどうにか紅茶を淹れ切った。<br />
「三時は過ぎているのに紅茶が遅いなあ。何故紅茶が来ないのだろうね？　清麿」<br />
「解った解った今もって来る！」<br />
この鬼の首を取ったかのようにおどけた声が気に食わない。<br />
清麿は何だかんだ言いながら、きちんと紅茶に必要なものを揃えてからナゾナゾ博士に紅茶を出してやった。<br />
相手は目の前に出された紅茶を短い時間じっと見ていたが、やがてカップを持ち上げて香りを吸い込む。<br />
「うむ&hellip;&hellip;香りはなかなかいい。清麿、巧く淹れたみたいだね？」<br />
「え&hellip;&hellip;」<br />
言われて相手の顔を見ると、博士はいつもとは違う理知的な笑みで清麿を見つめていた。<br />
何故かその顔に動悸が早くなって、言葉に頬が染まる。<br />
本当に自分の淹れ方は上手だったのだろうか？<br />
そう聞いてみたくて、だが言えるはずがなく目を逸らした清麿に、ナゾナゾ博士はにっこりと微笑んで&hellip;&hellip;<br />
また、あの小馬鹿にした顔に戻った。<br />
「まあ香りがいいのは茶葉が元々いい物だからだがね！　ブフーッ！」<br />
清麿の心が一瞬で凍りつく。<br />
&hellip;&hellip;清麿の心の中で何かの糸が一本切れた音が響いた。<br />
（殺す、後で絶対に殺す&hellip;&hellip;）<br />
丘に生える瑞々しい草を撫でる優しい風に髪を弄ばれながら、清麿は顔に影を作ってそう誓う。<br />
ロケーションに合わなかろうが発言が不謹慎だろうが関係ない。とりあえず、清麿的には今のナゾナゾ博士は抹殺対象として認識されてしまったようだ。<br />
背後から闇のオーラを漂わせながらナゾナゾ博士を睨みつける清麿に、ナゾナゾ博士は命の危機を感じたのか硬い笑みを漏らしながら冷や汗を垂らす。<br />
「い、いやだなあ清麿&hellip;&hellip;ちょっとしたおちゃっぴいじゃないか&hellip;&hellip;お茶だけにブフゥー！」<br />
言いながら、また噴出す博士。<br />
清麿はその様を見ながら、顔が般若へと変貌していく様を自覚した。<br />
もう止められない。というか、止めるなんて以ての外である。ここで怒らないとこの後またからかわれかねない。自分の心とそう結論を出した清麿は、一気に怒気を噴出させようとした、が。<br />
「ま、まあまあまあ清麿！　ほら、座って君もお茶を飲めばいいじゃないか！」<br />
「じゃかあしいわ―――！！」<br />
角の出始めた途中でそんな事を言われても許せる訳がない。<br />
変貌し始めた清麿に慌てながらも、ナゾナゾ博士はしっかりカップを置くと机の下に隠れた。<br />
「す、すまんすまん！　ほんのジョークのつもりだったんだよ清麿ー！」<br />
「ウルセェ絶対許さん！　出て来いこの野郎！！」<br />
「ヒィイイイイイイ老人への暴力は格好悪いぞ清麿君ー！」<br />
「先におちょくって来たのはそっちだろうがあああああ」<br />
最早この事態を収拾出来る者は居ない。<br />
風までも邪悪に渦巻き始め曇り始めた空を見ながら、ナゾナゾ博士は一頻り震えていたが――何を思ったのか、凄まじく震える手で懐に手を入れ何かを清麿へと差し出した。<br />
般若、いや魔王、もとい清麿が、その差し出されたものを目に映す。<br />
途端清麿の顔から恐ろしい表情が消え、全てはまた穏やかなものへと戻っていった。<br />
&hellip;&hellip;どうでもいいが、天候まで変えるというのはちょっと人間業ではない気がする。<br />
「&hellip;&hellip;」<br />
そんな人間業ではない事をやる清麿は、暫しナゾナゾ博士の手を見つめていたが、やがて恐る恐るその手に掴まれている物を受け取って、首を傾げた。<br />
「これって&hellip;&hellip;本&hellip;&hellip;だよな」<br />
「はっはっ、それ以外に何に見えるんだい？」<br />
そう嘯いて、ナゾナゾ博士は笑いながら立ち上がる。膝下に付いた草を手で丁寧に落としながら椅子に手をかける相手に、清麿は不可思議そうに眉を顰めながら本を見た。<br />
立派な装丁に、分厚い中の紙束。表紙に書かれた題名は、どこかで見た事のあるようなものだった。だが、どこで見たのか思い出せない。首を捻る清麿に微笑みながら、博士はまた席に付いた。<br />
「清麿、覚えていないのかい？」<br />
「何を？」<br />
すっかり怒りの収まってしまった清麿を見て、ナゾナゾ博士は苦笑した。<br />
「これは&hellip;&hellip;本当に覚えていないみたいだね。ほら、言っていたじゃないか&hellip;&hellip;『その本が欲しい。でも、高くて手が出ない』って」<br />
言いながらカップに口をつける博士を見て、ようやく清麿は自分の言った事を思い出した。<br />
そういえば、少し前に博士と会った時に、軽い気持ちでそう話した事があったのだ。<br />
だがそれは話の中の一つの話題に過ぎなかったし、清麿自身も思い出すのに時間が掛かるほど些細な台詞だったはずである。<br />
驚きを隠さずにナゾナゾ博士を見やる清麿に、博士は優しく笑んだ。<br />
「いつもこんな爺さんの冗談に付き合ってくれる君への、些細なプレゼントだよ」<br />
和やかで暖かい光を含んだ瞳に見つめられて、今度は清麿が慌てて顔を歪めた。<br />
「え、いや、でも、俺はそんなつもりで言ったんじゃ&hellip;&hellip;」<br />
「解っているさ。だから、私に付き合ってもらってる御礼として君にプレゼントしたんだ。気に入らなかったかね」<br />
寂しそうな表情を作る相手に、思わず首を振る。<br />
「ち、違う！　そうじゃなくて、その&hellip;&hellip;嬉しいけどさ」<br />
「じゃあ受け取ってくれたまえ。私の気持ちのほんの一部だよ」<br />
そこまで言われると流石に拒否することなど出来ず、清麿はぎこちなく頷いた。博士はそれに満足したのか、顔をまた笑んだ表情へと戻す。そうしてもう一度紅茶に口をつけた。<br />
相手のそんな様子を見ながら、清麿はただ言葉が出なくて本をただぎゅっと抱き込んだ。<br />
何故か目の前にいるはずの相手が遠くに見えて、何も言えなくなる。<br />
そんな清麿の気持ちを笑うように、暖かく緩い風が二人の間を通りぬけた。その風が人工の音を奪って去ったのか、鳥の声と草のざわめき以外に何も聞こえなくなる。<br />
沈黙が流れる短い時をいつもより長く感じて、清麿は顔を伏せた。<br />
（&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;「冗談に付き合ってくれてるお礼」&hellip;&hellip;か&hellip;&hellip;）<br />
確かに自分は彼の冗談に付き合っている。清麿の家へ博士が訪れる度に、律儀に怒って反応して悶えたりもしていた。それは清麿にとっても大分迷惑なことであり、出来れば出逢いたくもない出来事ではあったのであるが。<br />
（そう言われると&hellip;&hellip;なんか、モヤモヤすんのは何でなんだろう&hellip;&hellip;）<br />
何故か、嫌だった筈なのに、お礼だって貰えるものなら貰いたいほど迷惑していたのに、博士からそう言われると何故か心に重い物が圧し掛かったようになるのだ。<br />
何故だろうか。何故、自分はそう思うのだろうか。<br />
考えて――清麿はあることに気が付いた。<br />
&hellip;&hellip;多分だが。できれば、認めたくはないが。<br />
多分、自分は&hellip;&hellip;<br />
（「付き合ってくれる」っていわれるのが、悲しいんだ）<br />
抱き締めた本の重さに、心まで苦しくなる。<br />
そう、その言葉が心に鋭い棘を刺していた。<br />
別に、好きで付き合っているわけではない。相手がちょっかいをかけてくるから、いつの間にか乗ってしまって、結局付き合っていることになっていのだ。けれど、それは決して嫌なことではなかった。<br />
嫌々していることじゃ、なかったのだ。<br />
だから、博士に「付き合ってくれるお礼」なんて言われてこんな高価な本を貰って悲しくなったのである。<br />
「付き合ってくれる」なんて、これでは自分が嫌々博士の相手をしている事になるではないか。その上にこの言葉に添えてプレゼントなんてされるものだから、どうしてもこの本が「嫌々付き合ってやってるから、物をよこせ」とでも自分が示していたかのように思えた。<br />
そう思われているのだろうということも容易に想像できて、一層悲しさは増す。<br />
（別に&hellip;&hellip;そんなんじゃないのに&hellip;&hellip;）<br />
決して、お礼目当ての為に付き合っているんじゃないのに。<br />
そう言いたかったが、しかしそう言ってしまうと何故か何かが変わってしまうような気がして、どうしても清麿には口を開くことが出来なかった。<br />
伝えたいのに、伝えられない。<br />
これほどもどかしい思いをしているのに、相手には伝わらない。<br />
焦燥と心苦しさと悲しさは胸に更に重石をかけて、気付けば拳は震えていた。<br />
「&hellip;&hellip;清麿？」<br />
ようやく清麿の変化に気付いたのか、博士は不思議そうに目を瞬かせると顔を上げた。<br />
優しい目が、自分を映す。<br />
瞳の中にいた清麿は、顔を赤くして、ぐずる前の子供のように悲しみを押し込んだ顔をしていた。<br />
「&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;」<br />
「どうして、そんな悲しい顔をしているんだい？」<br />
大きな帽子の鍔が落とす影に負けず、瞳の中の光は閃く。<br />
何もかもを知り、見透かしたような目に見入られて――――清麿は、やっと口を開いた。<br />
「俺、は&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;こんな&hellip;&hellip;」<br />
「こんな？」<br />
震える声に乗せられた言葉を復唱されて、また熱が上がる。<br />
震えた拳で握り締めた本をまた強く握り、清麿は続けた。<br />
「こんな本のために&hellip;&hellip;あんたに&hellip;&hellip;ったんじゃない」<br />
「&hellip;&hellip;？」<br />
何もかもを知っていると言っていたはずなのに、清麿の途切れた言葉は解らないのかナゾナゾ博士は眉を寄せた。伝わらなかった事に、また頬が赤くなる。目頭が熱くなって、眉は顰めっぱなしで痛くなり始めていた。<br />
けれど、気持ちは伝わらない。<br />
もどかしくて泣き出しそうな気持ちを必死に押さえ込みながら、いつもの自分に戻ろうとして、清麿は大きく息を吸った。けれど、喉は細かく震えて上手く呼吸が出来ない。<br />
必死で暴れ出そうとするものを全て制して、清麿はもう一度、伝えた。<br />
「俺は&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;こんな、こんな本の為に&hellip;&hellip;あんたに&hellip;&hellip;<br />
あんたに&hellip;&hellip;付き合ったんじゃ&hellip;&hellip;ない&hellip;&hellip;！」<br />
誤解されたくない。<br />
算段があって、自分は冗談に付き合っていたのではないのだ。<br />
今目の前にいる人を、嫌っていることなんて、これっぽっちもないのである。<br />
それを知って欲しかったのに、いつもと同じようにそれ以上に言葉は出てこない。伝えたい時に限って自分の気持ちは言葉になってくれなかった。<br />
もどかしくてたまらない。伝えたいのに、伝わらない。<br />
思わず顔を伏せた清麿を暫し博士はどこか驚いたような表情を浮かべ見つめていたが&hellip;&hellip;<br />
やがて、優しく微笑むと、清麿の顎をすいと指で掬い上げた。<br />
「&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;」<br />
「清麿、申し訳ない。&hellip;&hellip;私は言葉を誤っていた様だね」<br />
潤んだ瞳を返す清麿に、博士は帽子を取って応える。<br />
光を含んで、一層その理知的な瞳は輝いた。<br />
「&hellip;&hellip;私はね、嬉しかったんだ」<br />
「嬉しかった&hellip;&hellip;？」<br />
小さく返す清麿に、博士はゆっくりと頷く。深く刻まれた皺は笑みを深くしていて、その表情は何処か悲しそうにも見えた。<br />
「そう。こんな老いぼれにむきになって怒って、食って掛かって、泣いてくれる。&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;私には、それがたまらなく嬉しかったんだよ」<br />
顎を捉えていた手が、輪郭を辿って頬に辿り着く。<br />
優しく包むその手の暖かさを感じながら、清麿は目を細めた。<br />
「本気で私を思ってくれる君がいてくれることが、いつやって来ても私を見てくれる君が、本当に愛おしかったんだ」<br />
最後の吐息のような言葉に、心臓が一際大きく脈打つ。<br />
しかしそれを形容する事など出来るわけもなく、清麿はただ相手の独白を聞いていた。博士も清麿の目を真っ直ぐに見つめながら、続ける。<br />
「だから、ついつい悪戯が度を過ぎてしまったりしてね&hellip;&hellip;申し訳ない。けれどそれほど清麿、君に構って欲しかったんだということは解って欲しい」<br />
苦笑しながら謝る相手に、釣られて顔が苦笑に歪む。<br />
清麿のその頬を優しく撫でて、博士は「困った」とでも言うように首を傾げた。<br />
「面倒な老いぼれを構ってくれるから、どんどん私は嬉しくなっていった。だから、この幸せな日々を失くしたくなくて、焦っていたのかもしれない。」<br />
「&hellip;&hellip;だから&hellip;&hellip;本を？」<br />
呟いた清麿に、博士は苦笑を薄くして己に呆れたかのように頷いた。<br />
「我ながら愚かだと思うよ。人の心を繋ぎ留める為に、物を使おうだなんてね。&hellip;&hellip;けれど、清麿。解って欲しい。&hellip;&hellip;私は決して、君が物を求めているように見えたからそれを贈ったんじゃあないんだ」<br />
頬を撫でていた手が、ゆっくりと移動して清麿の髪を優しく掻き上げる。<br />
胸を焦がすようなその瞳と手に、清麿の心は大いに揺れていた。何故かなんて解らない。解っていたとしても、言う事などできなかった。<br />
「博、士&hellip;&hellip;」<br />
「私は&hellip;&hellip;君を愛しているから、君の心を引き止めておきたかった。だから&hellip;&hellip;それを、贈ったんだよ、清麿」<br />
囁かれるように告げられた言葉に、時が止まった気がした。<br />
けれど激しく脈打つ鼓動に時が流れているのだと知らされて、現実に引き戻される。<br />
脳裏を流れていこうとしたその言葉をもう一度噛締めるように理解して、ようやく清麿は息を呑んだ。顔が温度計のように急激に真っ赤になっていく。自制しようとしたが、もう自制できるような状態ではなかった。<br />
「な、ナゾナゾ、はか、せ&hellip;&hellip;」<br />
ぱくぱくと口を動かしながら苦労して相手の名を呼んでみるが、何の解決にもならない。<br />
どうしたらいいのか解らず今更混乱し始めた清麿に、ナゾナゾ博士はすべて心得ているとでもいうように、いつもの笑顔で清麿の髪を梳いていた手をまた頬へと戻した。どこかいつもより嬉しそうなのは気のせいだろうか。<br />
「清麿、愛しているよ」<br />
「あ、う&hellip;&hellip;あ、その&hellip;&hellip;」<br />
言葉が考えられなくて無意味な喘ぎを続ける清麿に、博士は畳み掛ける。<br />
「迷惑だったかな？」<br />
「い、いや&hellip;&hellip;えと」<br />
「やはり、こんな老いぼれに告白されても困るだけか&hellip;&hellip;」<br />
言いながら、解り易過ぎるほどにしょんぼりしてしまう相手に、清麿は思わず首を横に振った。<br />
いつもならきっと無視しているだろうに、今は何故かその選択肢が出てこない。ただ、相手に悲しい顔をして欲しくなくて、清麿は無意識に叫んでいた。<br />
「そ、そんなこと誰も言ってねぇだろ！」<br />
「清麿&hellip;&hellip;」<br />
嬉しそうに顔を上げた相手に「しまった」と思っても、もう後には退けない。<br />
混乱に乗じてか、今度は煩いくらいに言葉が溢れてきて清麿は何から言ったらいいのか迷っていた。こんなこと初めてだ。けれどその言葉達はどれも同じ意味を指していて、結局は全て同じ思いに繋がっていた。<br />
言うべきか、言わざるべきか。<br />
迷ったが、ここで言わなかったら一生言えない気がして――清麿は、意を決して相手を見据えた。<br />
「その&hellip;&hellip;その、俺は&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;」<br />
何の言葉が出てくるのか解っているように、ナゾナゾ博士は嬉しそうに次の台詞を待っている。<br />
頭がオーバーヒートしそうだったが、それでも伝えたくて、清麿は一気に言い切った。<br />
<br />
「俺は、あんたが嫌いだったら&hellip;&hellip;こんなお茶酌みなんてしてない！！」<br />
<br />
清麿の一世一代の気持ちをこめたその台詞に、博士は目を向いたままで固まる。<br />
一瞬清麿も驚いたが、やがて、博士は我を取り戻したのか思い切り笑い始めた。<br />
「はっはっは、はぁーっはっはっは！　ぶ、ブフフーッ！」<br />
「ちょっ、何笑ってんだよ！！」<br />
人の一生懸命な言葉を笑うとは失礼極まりない。<br />
顔を赤くしたまま思わずナゾナゾ博士に突っかかる清麿に、博士は落ち着いてと手を出して制した。だがまだ笑っている。<br />
「い、いや、すまない、本当に申し訳ないっ、ブフッ&hellip;&hellip;いや、そうじゃないんだ。その、実に&hellip;&hellip;面白い例えをされたもんだから、何だかおかしくなってしまってねブフーッ！」<br />
「ぐおおぉお、ぉ、おおお、おお&hellip;&hellip;」<br />
そう言いながらまた噴出す相手に、何だか恥しすぎて涙が出てくる。<br />
出来るものなら数秒前の自分の発言を取り消したかったが、それが出来るはずもなく。<br />
歯をギリギリと鳴らして恥しさを噛み殺している清麿に、ようやく笑いが収まった博士は苦笑しながら空涙を拭った。泣くまで笑ったとは本当に失礼な博士である。<br />
「いやいや&hellip;&hellip;しかし清麿、いいのかね」<br />
「は？」<br />
急に真面目ぶった声に変わった相手に、素っ頓狂な声が出る。<br />
驚く清麿を先ほどとは打って変わった真剣な顔で見据えながら、博士はゆっくりと問いかけた。<br />
「老いさらばえた私で、構わないのかい？」<br />
酷く端的で、しかし幾つ物思いが込められた言葉。<br />
相手の変化に戸惑ったものの、清麿は息を整えて平静を保つと、ただ静かに頷いた。<br />
それがどんな言葉より強い、肯定の示し方だと、知っていたから。<br />
「そうか&hellip;&hellip;ありがとう」<br />
「っ&hellip;&hellip;！」<br />
感謝の言葉と共に、腕を取られて引っ張られる。本を片手で持った不安定な状態だった体は簡単にそちらへ倒れ、気付けば清麿は博士の腕の中へと収まっていた。<br />
冷静になったはずだったのに、また顔に熱が上がってくる。<br />
「清麿、私は幸せ者だ」<br />
自分を包む、どこか懐かしくて清潔な香りに心が鎮まる。恥ずかしい筈なのに、暴れ出したくならない。だが顔は火照っていく。不思議な感覚だった。<br />
「&hellip;&hellip;幸せって、何が」<br />
「こうして、暖かい日差しの中で愛しい恋人といられることさ。これほど幸せなことがあると思うかい？　清麿」<br />
そうして抱きすくめられて、何もいえなくなる。抵抗のつもりで鼻を鳴らしたが、抵抗になっていないことなど清麿本人が一番解っていた。解っていたが、性格上そうでもしてないと素直にこの状況を受け入れられなかったのだ。<br />
それを解っているのか、博士は静かに笑って清麿を深く抱きこむ。<br />
「ところで清麿、その本の中身なんだがね」<br />
「え？」<br />
「聞いた話によると、頁が多すぎて乱丁がたまにあるらしいんだよ」<br />
「そうなのか？」<br />
少しだけ顔を動かして振り向くと、博士は鷹揚に頷いた。<br />
「何しろ今時珍しい活版印刷だからね」<br />
「そっか&hellip;&hellip;一応調べてみようかな&hellip;&hellip;」<br />
折角貰った本なのに、乱丁があるなんて少し残念な気がする。後で読むときに困らないように把握しておいた方がいいかもしれないと思い、清麿は本をテーブルの上に乗せた。<br />
重い表紙を抓んで、開く。<br />
後ろで生唾を飲んだ音がしたような気がする、と思った刹那。<br />
<br />
<br />
本から、ビッグボインの人形が飛び出してきた<br />
<br />
<br />
「&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;え？」<br />
これはなんだろうか。または、なんだろうかこれは。<br />
よく理解出来ないが、本を開いたらいきなりビッグボインが出てきた。見事な作りのビッグボインの人形が勢いよく飛び出してきたのである。<br />
一瞬意識が飛んでいった清麿だったが、本の中身が刳り貫かれていて、人形がばね仕掛けになっているのを見てようやく状況を理解した。<br />
そうか、これはビックリ箱だ。<br />
ぎこちなくこれをくれた贈り主に首を動かすと、贈り主は真剣な顔をして&hellip;&hellip;<br />
<br />
<br />
<br />
「ウ・ソ☆」<br />
<br />
<br />
<br />
あの人を小馬鹿にしたような顔で、盛大な噴出した。<br />
「ブフフファー！！　やはり清麿、君は最高だ！」<br />
言いながら、笑いが止まらないのか狂ったように笑い続ける博士に、清麿はふつふつと煮えたぎる何かを感じた。瞬間、心の中の何かの糸が、いっせいにぶち切れる。<br />
もう清麿を止められるものはなかった。<br />
「じゃかあしゃ――――！！　今度こそただじゃおかねぇええええええ！！」<br />
華麗なアッパーが博士の顎にヒットしたと同時、清麿はひらりと着地して博士に跳びかかった。<br />
「ゴハッ、エゲブッ！　き、清麿、君は恋人に何をゴブッ&hellip;&hellip;」<br />
「うるせえええええええ」<br />
「愛しているのは嘘だったのかいぃいい！？」<br />
「関係ねぇええええええ！！」<br />
「あ、愛が痛いよ清麿！」<br />
「今度は恋人だろうが何だろうが容赦しねぇからなぁあああああ！！」<br />
「ギィヤァアアァアアアア！！」<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
この後、流石にやり過ぎたと思ったのか、ナゾナゾ博士は慌てた清麿によってミイラ男にされてしまうのだが<br />
<br />
<br />
しかし何故か博士は嬉しそうだったという。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
終]]>
    </description>
    <category>企画系小話収納所</category>
    <link>https://foolproject.blog.shinobi.jp/%E4%BC%81%E7%94%BB%E7%B3%BB%E5%B0%8F%E8%A9%B1%E5%8F%8E%E7%B4%8D%E6%89%80/%E3%83%8A%E3%82%BE%E6%B8%85%EF%BC%9A%E3%81%BB%E3%81%AE%E3%81%BC%E3%81%AE-%E7%94%98%E2%80%A6--%E3%82%B3%E3%83%A1%E3%83%87%E3%82%A3</link>
    <pubDate>Mon, 07 Apr 2008 15:17:46 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">foolproject.blog.shinobi.jp://entry/43</guid>
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    <item>
    <title>ガ清：日常/極短/ほのぼの</title>
    <description>
    <![CDATA[<br />
<br />
「おーいガッシュ、ミニドーナツ喰うか？」<br />
<br />
<br />
そう言って、ドアを開けたのが数秒前。<br />
自分にしては結構楽しげな声だったなと思いつつも、それが今のこの状況を誘引するかまでは予測しなかった。<br />
「&hellip;&hellip;お前&hellip;&hellip;そんなにドーナツ食いたいか」<br />
清麿が呆れた顔で見下げるそこには、目をキラキラさせながら、清麿が持っているそれを見つめるガッシュ。<br />
子供が菓子好きというのは相場が決まっているが、それにしても数秒でこの対応というのは、少々おかしい。<br />
しかし、その当の本人はそんな事は関係ないようで、清麿とドーナツを交互に見比べながらぶんぶんと腕を期待して振り回していた。<br />
「清麿っ清麿っ早く食べようぞ！」<br />
言うガッシュの口は、涎が垂れている。<br />
やはり子供だな、と微苦笑して、清麿はそれをテレビの前の床に置き、自分も同じように座った。<br />
「砂糖とかついてるから、食べ終わったらきちんと手ぇ洗いに行けよ」<br />
「ウヌ！　解ったのだ」<br />
そう言うや否や、一つ目を大口を開けて放り込むガッシュ。<br />
満面の笑みは可愛らしいが、小さなドーナツにそこまで口を開く仕草に、どことなくおかしさを感じた。<br />
相手が美味しそうに咀嚼する様を見やり、清麿もその小さなドーナツを摘む。<br />
小麦色にこんがりと焼け甘い芳香を漂わせるそれは、店で買うような少し硬いドーナツではなく、どちらかというと菓子パンに近い柔らかさだ。<br />
その優しげな色に、砂糖の透明な白が映えている。<br />
一口放り込んで広がる甘みに、清麿も口の端を吊り上げた。<br />
「あー&hellip;&hellip;それにしても、久しぶりだな」<br />
昔はこういう物も食べていたっけ、と思い出しつつ、意識はテレビにそれる。<br />
テレビはガッシュの大好きなヒーロー番組も終り、今は報道特番が枠を独占していた。<br />
ガッシュには解らないだろうが、世事に関しては情報の遅れを取りたくない清麿にとって、それは見入るに値するもので。<br />
いつの間にか視線だけテレビに向いて、手が勝手にドーナツを取るような姿勢になっていた。<br />
「&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;」<br />
そんな清麿を、少し前からガッシュはじーっと見つめていた。<br />
指に摘まれて、そのまま目線も外さない清麿の口にドーナツは放り込まれていく。<br />
ガッシュは暫し、そんな光景を見ていたが。<br />
「&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;」<br />
清麿の指が次のドーナツを取って、引き上げようとした時。<br />
「ウヌっ」<br />
<br />
<br />
その摘んだドーナツを、指ごと、ぱくりと食べてしまった。<br />
<br />
<br />
「ひぁあっ！？」<br />
それに驚いたのは被害を被った清麿で。<br />
いきなり指にぬめった感覚を覚えて、変な声を上げて驚きながらそこを向く。<br />
「ガッシュッ！　何やってんだテメェっ!?」<br />
あまりの突然の出来事に頬を紅潮させて怒鳴る清麿を見て、ガッシュは悪戯が成功したような笑みを浮かべて、口を指から離した。<br />
「清麿があまりにもテレビに見入っておるのでの&hellip;&hellip;ちょっと驚かせてみたかったのだ!」<br />
「だからってお前な&hellip;&hellip;！」<br />
と、言いかけて、更に顔を真っ赤にして言いよどむ清麿。<br />
その先が言いたかったのだが、どうしてもそれは言葉にならなかった。<br />
何故なら&hellip;&hellip;とても、清麿が怒鳴れるような台詞ではなかったのだ。<br />
<br />
(だからって&hellip;&hellip;一々指に舌を絡めてくることないだろこのバカ！！)<br />
<br />
そう、ことも有ろうか、ガッシュはドーナツを掠め取る時に、清麿の指にワザと触れていったのである。<br />
絶対に、ワザとだ。<br />
ワザととしか、言いようが無い。<br />
しかし、本人は素知らぬ顔で笑いつつ、ただ無邪気にドーナツを頬張るだけで。<br />
「どうしたのだ？　清麿」<br />
首を傾げる顔に浮かんでいる表情が、普通の笑顔なのか、したり顔なのかさえ解らない。<br />
「&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;性質悪い&hellip;&hellip;」<br />
天然でも、意図的でも、どちらにしろ始末に終えない。<br />
清麿はそう思いながら、憮然とした顔でまたドーナツを口に放り込んだのだった。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
(2007/04/30)]]>
    </description>
    <category>小話収納所</category>
    <link>https://foolproject.blog.shinobi.jp/%E5%B0%8F%E8%A9%B1%E5%8F%8E%E7%B4%8D%E6%89%80/%E3%82%AC%E6%B8%85%EF%BC%9A%E6%97%A5%E5%B8%B8-%E6%A5%B5%E7%9F%AD-%E3%81%BB%E3%81%AE%E3%81%BC%E3%81%AE_42</link>
    <pubDate>Fri, 29 Feb 2008 13:17:09 GMT</pubDate>
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  </item>
    <item>
    <title>ガ清：記憶/暗/独白系/黒ガッシュ</title>
    <description>
    <![CDATA[<br />
<br />
記憶というのは、残酷なものだ。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
「ガッシュ、魔界の時の記憶を返してもらって、なにか変わったことは有るか？」<br />
そう聞かれて、一度は首を振った。<br />
それは、清麿に心の内を見られたくなかったからでもあり、心配させたくなかったからだ。<br />
確かに性格は変わっていない。<br />
記憶が戻っただけで、自分を省みても何らおかしい所は無かった。<br />
けれど。<br />
(私は、変わってしまったのだ)<br />
思い人の居ない部屋。その匂いの残るベッドに身を沈ませて、ただ天井を仰ぐ。<br />
清麿が見ていたであろう景色を共有しながら、ガッシュは本当に小さな溜息をついた。<br />
(どうして、こうなってしまったのかのう？)<br />
問いかけても、自分の心が返してくるのは謎ばかり。<br />
そう、至極簡易な謎ばかりだった。<br />
<br />
<br />
記憶が戻ってきたと同時に生まれた、ある思い。<br />
<br />
<br />
ずっと虐げられ、涙に溺れ、貪欲でありながらもその貪欲ささえも踏み躙られていた、己の過去。<br />
満足だったといえば嘘になる、記憶。<br />
<br />
友達が居ても心は満たされず、ずっと空虚な思いを覚えていた。<br />
<br />
<br />
だから、自分には兄が、母が、父が居ると解った時、本当に充たされる思いがしたのだ。<br />
それまで光を飲み込まんとしていた闇が、消え去ったのだから。<br />
けれど、<br />
それでも、<br />
孤独という感情は消えなかった。<br />
<br />
<br />
<br />
(皆には真に帰る場所がある。だが、私にはその帰る場所が解らなかった。有る居場所と言えば、私を物として見る、悲しい家だけだったのだ)<br />
<br />
それを思い出してしまえば、友との距離も開いていく。<br />
ガッシュには、それがたまらなく怖かったのだ。<br />
(&hellip;&hellip;記憶は、返して貰わぬでも良かったかも知れぬのう)<br />
思わず苦笑が浮かんで、すぐにその笑みは消える。<br />
今ガッシュの顔に浮かんでいたのは、暗い場所を見るような、暗澹としたものだった。<br />
(そう&hellip;&hellip;返してもらわねば&hellip;&hellip;こう思うこともなかったのだ&hellip;&hellip;)<br />
目を細め、視界一杯に映った見慣れた風景を見る。<br />
そこに居る筈の己の魂の片割れを思い、そのままガッシュは目蓋を閉じた。<br />
&hellip;&hellip;そう。記憶を返して貰わなければ&hellip;&hellip;<br />
<br />
<br />
<br />
(清麿を、こんなにも、縛り付けたいと思わなかったのに)<br />
<br />
<br />
<br />
清麿の笑顔を見るたび、胸に去来するのは喜びと虚無。<br />
充たされる思いのその後に、必ず、もう一人の自分が心の中で叫ぶのだ。<br />
「その笑顔がもう二度と見れない日が、必ずやって来るんだぞ」と。<br />
そう。それは、逃れられない運命なのだ。<br />
いつか、自分達は離れ離れになってしまう。<br />
どんなに愛しいと思っていても、清麿とは道を違えてしまうのだ。<br />
その笑顔に救われ<br />
その心に励まされ<br />
その全てが<br />
愛しくて、たまらないのに。<br />
<br />
<br />
<br />
(もう、一人は嫌なのだ。清麿)<br />
<br />
いつも一緒に居る相棒。<br />
心優しい、自分のパートナー。<br />
心さえも分かち合ったと思えるその相手が、消える。<br />
心の殆どを占めているその人と、別たれてしまう。<br />
そう思うと、身を引き裂くほど辛くて。<br />
怖くて。<br />
叫び出してしまいそうで。<br />
「&hellip;&hellip;私は、どうしてこう思うようになってしまったのだろうのう？」<br />
ただ、記憶を取り戻しただけなのに。<br />
「&hellip;&hellip;いっそ&hellip;&hellip;清麿を、ずっと縛り付けて居られればいいのに」<br />
<br />
<br />
<br />
そうしたら、ずっと、一緒に居られるのに。<br />
<br />
<br />
<br />
考えて、ガッシュは己に苦笑を送った。<br />
「私は&hellip;&hellip;本当に変わってしまったらしいのう」<br />
大切にしたい、守りたいと思っていたはずの、愛しい人。<br />
なのに今は、自分から逃したくなくて、捕えていたくて、たまらない。<br />
全てを支配したくて、たまらないのだ。<br />
「&hellip;&hellip;清麿、お主がもし、私の心内を聞いたら、どう返してくれるのだ&hellip;&hellip;？」<br />
拒絶か<br />
許容か<br />
それとも<br />
恐れか<br />
「&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;どれにしても、構わぬ、か」<br />
呟いて、ガッシュは暗い微笑を浮かべた。<br />
そう、どの反応にしても、構わない。<br />
何であっても、関係ないのだ。<br />
<br />
「私がお主を束縛する事には、変わりないのだからのう」<br />
<br />
<br />
<br />
言って、ガッシュはそのまま、深く暗い眠りの底へ落ちていった。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
記憶とは残酷なものだ。<br />
経験と引き換えに、様々な闇を引き起こす。<br />
今まで思ったことも無かったこの暗がりのような思いを、記憶は作り上げてしまった。<br />
闇を、思い出させてくれた。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
記憶なんて<br />
<br />
失ったままでいれば<br />
<br />
良かったのに。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
(2007/04/27)]]>
    </description>
    <category>小話収納所</category>
    <link>https://foolproject.blog.shinobi.jp/%E5%B0%8F%E8%A9%B1%E5%8F%8E%E7%B4%8D%E6%89%80/%E3%82%AC%E6%B8%85%EF%BC%9A%E8%A8%98%E6%86%B6-%E6%9A%97-%E7%8B%AC%E7%99%BD%E7%B3%BB-%E9%BB%92%E3%82%AC%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A5</link>
    <pubDate>Fri, 29 Feb 2008 13:13:27 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">foolproject.blog.shinobi.jp://entry/41</guid>
  </item>
    <item>
    <title>ゼオ清：謎時間軸/ほのぼの？/ラブラブ？</title>
    <description>
    <![CDATA[<br />
<br />
「おい」<br />
<br />
夜も更けて、街の灯も散り散りになった頃。<br />
<br />
<br />
明かりのない部屋のドアをそっと開けて、いやにしゃんとした子供が入ってきた。<br />
月の光に染まった銀の髪に、菫の艶やかな紫を映した瞳。ただ無粋だと思うのは、その大人びて、どこか厭世的な表情のみ。<br />
そんな容貌の子供――ゼオンは、先程から窓の外をぼんやりと眺めている清麿に呼びかけた。<br />
「何をしている」<br />
清麿はその問いに目を動かすこともなく、月灯りにぼんやり照らされる影を保ちながら、小さく口を開く。<br />
「外をみてるんだ」<br />
短い答えにゼオンは眉を顰めたものの、そのまま小さな足音を立てながら、清麿に近づいてきた。<br />
「ガッシュは？」<br />
言われて、眉間の皺がより一層深くなる。己の名よりも先に、双子の弟の名を出されたのが気に入らなかったのだろう。<br />
けれどもゼオンはフンと鼻を鳴らすと、その問いに答えてやった。<br />
「寝た。俺がいないのも知らない」<br />
「そっか&hellip;&hellip;デュフォーは？」<br />
訊けば訊くほど、ゼオンの顔は不平を体現した表情になっていく。<br />
夜だから怒鳴りはしないものの、かなり怒っていることは知れた。<br />
しかし、清麿はそれを見もせずに、答えを、空を見ながら待っている。<br />
「&hellip;&hellip;夜の散歩だそうだ」<br />
語尾に怒りが満ちている。<br />
吐き捨てるようなその声を聞いて、ようやく清麿は苦笑した。<br />
そうして、ゆっくりと顔をゼオンの方を向ける。<br />
「えらくご機嫌斜めだな」<br />
「誰のせいだと思っている」<br />
恨みがましい目で睨むゼオンに苦笑したまま、清麿は椅子をくるりと回転させて相手のほうへ直った。<br />
清麿の顔には、外の緩やかで仄かな光が影を与えている。<br />
そうして微笑む様は、どこか大人びていた。<br />
「で、ゼオン。どうした？」<br />
優しい声音に、何故か険しくなっていた顔が緩む。その事が不思議でならないのか、ゼオンは不可解そうに口をへの字に曲げながら、何でもないように告げた。<br />
「お前と寝るからココに来た。決まっているだろうが」<br />
当然だろうが、という態度で、清麿を高飛車に見上げてくるゼオン。<br />
清麿は常々、なぜこんなにもこの子供の思考が解らないのかと悩んでしまう。<br />
話しも意思疎通も問題なく行えることはとても良いことだが、相手の考えていることや言動が解らないのは困りものである。<br />
少しだけ困ったように顔を歪めると、清麿は口を開いた。<br />
「お前&hellip;&hellip;恥しくないのか？」<br />
普通、こんな性格の者だと、恥ずかしがってそういう事は言い出せないはずだが。<br />
しかし、ゼオンは片眉を上げると、訝しげに返した。<br />
「何故俺が、当たり前のことを恥しがる必要がある」<br />
(ああ&hellip;&hellip;そうか)<br />
この子供は、自分がゼオンと寝ることは当然だと、それが拒否されることはないと思っているのである。<br />
だから、こうも居丈高に言える訳か。<br />
清麿はそう思って、少しだけ不満を覚えたが、それもすぐに消化した。<br />
「ま、いいか」<br />
肩を少しだけ揺らして首を傾げる清麿を身ながら、ゼオンは腰に手を当てて、イラついた様子で急かす。<br />
「何をぼやっとしている。俺は眠いんだ。さっさと床に就け。&hellip;&hellip;それとも、他の事がしたいのか」<br />
「あーあー、解った解った」<br />
こういうところが油断ならない。<br />
清麿は空返事のような声を出しながら椅子から立つと、ベッドへと向かった。<br />
そうして後ろを付いてくる小さな影に目をやりながら、そっと笑う。<br />
(でも&hellip;&hellip;何だかんだ言って、まだゼオンも子供なんだよなあ)<br />
優しげな苦笑の入り混じった笑みを浮かべて、清麿はそのまま、ゆっくりとゼオンを招きいれた。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
「清麿、俺とお前が一緒に寝ていると言ったら、あのバカはどんな顔をすると思うか」<br />
「そうだなぁ&hellip;&hellip;泣きっ面になると思う」<br />
「それは楽しみだ」<br />
ベッドの中。<br />
布団の作った暗闇で、二人はそっと笑い合う。<br />
――結局、なんのかんの気に入らない台詞で命令されても、自分はこんな時間が好きらしい。<br />
だから、ゼオンを嫌がりもせずに招き入れるのだろう。<br />
清麿は己の心の広さに呆れながら、その心地良い子供の体温を甘受することにしたのだった。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
(2007/04/21)]]>
    </description>
    <category>小話収納所</category>
    <link>https://foolproject.blog.shinobi.jp/%E5%B0%8F%E8%A9%B1%E5%8F%8E%E7%B4%8D%E6%89%80/%E3%82%BC%E3%82%AA%E6%B8%85%EF%BC%9A%E8%AC%8E%E6%99%82%E9%96%93%E8%BB%B8-%E3%81%BB%E3%81%AE%E3%81%BC%E3%81%AE%EF%BC%9F-%E3%83%A9%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%96%EF%BC%9F</link>
    <pubDate>Fri, 29 Feb 2008 13:08:20 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">foolproject.blog.shinobi.jp://entry/40</guid>
  </item>
    <item>
    <title>大人ガ清：魔界/ちょいエロ/暗/病み系</title>
    <description>
    <![CDATA[<br />
<br />
白い布の海に沈む肢体。頭の上で片手に容易く止められた腕。睨みつける双眸の向かう先には、金色の光をしみこませた御髪の魔王。<br />
「どうしたのだ？　清麿」<br />
含み笑いを込めながらコチラを窺う相手に、ただ眉間の皺は増えた。<br />
歯で恨めしく音を挽きつつ、清麿は機嫌の悪い声で吐き捨てる。<br />
「なんでこんな事をするんだ。ガッシュ」<br />
乱れた儀礼服は、まだ頑なに清麿の肌を隠していて。それを興ざめの目で見ながら、ガッシュは未だに笑みを湛えた顔で返した。<br />
「答えろ」<br />
再度命令のように告げるが、相手は訊く耳も持とうとしない。そのまま、慣れた手つきで服の袷を酷くゆっくりと解して行く。<br />
その手の行き着く先を知っているが故の動悸が、清麿を焦らせた。<br />
望んではいない事を、今、この寝台の上で合意もなしに決行されてしまう。<br />
それだけは、決して許せる事ではない。<br />
だが、清麿の強い口調の問いに、ガッシュは答えない。<br />
それ所か、顔を紅潮させ始め、悔しそうに歯を合わせる清麿を見て、更に呟いた。<br />
「恥しいかのう」<br />
どこか楽しげで、こちらの不幸を楽しんでいるようにも見える、ガッシュの言葉。<br />
それを聞いて、清麿は顔をゆがめた。<br />
「ッ&hellip;の&hellip;&hellip;クソ野郎&hellip;&hellip;！」<br />
自尊心を気付けられるほどの、屈辱。<br />
元々己のなすべき事ではない役割を負っている清麿には、組敷かれることさえも苦痛になっていた。<br />
けれど、ガッシュはそれをやめようともしない。<br />
それ所か、毎晩毎晩、その屈辱を味わわせようとでも言うかのように、清麿を冒していく。<br />
子供の頃の素直さなどどこにも無く、ただ、清麿を冷たい目で求め続けていた。<br />
「酷いことを言うのう」<br />
「言えた&hellip;&hellip;義理か&hellip;&hellip;！」<br />
もがく腕はピクリともしない。<br />
肌は徐々に外気に触れていく。<br />
狂いそうなほどの羞恥を味わいながら、見つめることしか出来ない自分。<br />
悔しさで、涙が溢れて止まらなかった。<br />
「清麿、お主が悪いのだぞ？　お主がいつもいつも私以外の者と会うから、いけぬのだ。私の言いつけを守らず、他の者と話すからいけないのだ」<br />
そんなの、お前の勝手な言い分だ。<br />
理由などいつもこんなどうしようもないもので、結局はこの状況へと持ち込む口実に過ぎない。そうでしかないのだろう。<br />
そう言いたくても、口が震えて強い言葉が出せない。<br />
ただ紡げたのは、弱々しい、小さな言葉だった。<br />
<br />
「何で&hellip;&hellip;こうなっちまったんだよ&hellip;&hellip;」<br />
<br />
言葉が空に溶けたのと同時に、溢れ雫となって落ちる涙。<br />
睨む気力も無いその瞳を見つめて、ガッシュは優しい笑顔で、告げた。<br />
「お主が、私の傍に居るから、いけぬのだ」<br />
その斜陽を写した瞳には、暗澹とした夜が浮かんでいる。<br />
既に、太陽の光は落ちていた。<br />
&hellip;&hellip;どうしてこうなってしまったのか。<br />
考えても、清麿にはもう答えを出す力などなくなっていた。<br />
(どうして&hellip;&hellip;どうして、俺は&hellip;&hellip;ガッシュをこんな風にしちまったんだ&hellip;&hellip;？)<br />
その思いを噛締めるも、広がるのは後悔と悲しみで。<br />
「清麿&hellip;&hellip;その顔も、愛らしいのう」<br />
口付けるその唇は、ただ熱く、痛い。<br />
(俺達は&hellip;&hellip;どこで道を間違えた？)<br />
昔覚えていたあの思いは消え去り、魔王は魔王たる心に。王佐は、ただただ貪られる存在になってしまった。<br />
この関係に愛などあるのだろうか。<br />
考えても、答えは悲しいものしか出ない。<br />
解っているのは、ただ、自分はガッシュに支配されていると言うことだけだった。<br />
(ガッシュ&hellip;&hellip;)<br />
遠くに浮かぶのは、眩いばかりの笑顔で笑っていた、愛しい者。今はもう、存在しない存在。<br />
けれど、求めることは止められなかった。<br />
「これからもずっと&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;お主は、私だけを見ておればいい」<br />
首筋に刻む所有の証。<br />
熱と少しだけの痛みを持ったそれを感じて、清麿は目を瞑るしかなかった。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
(2007/04/06)]]>
    </description>
    <category>小話収納所</category>
    <link>https://foolproject.blog.shinobi.jp/%E5%B0%8F%E8%A9%B1%E5%8F%8E%E7%B4%8D%E6%89%80/%E5%A4%A7%E4%BA%BA%E3%82%AC%E6%B8%85%EF%BC%9A%E9%AD%94%E7%95%8C-%E3%81%A1%E3%82%87%E3%81%84%E3%82%A8%E3%83%AD-%E6%9A%97-%E7%97%85%E3%81%BF%E7%B3%BB</link>
    <pubDate>Fri, 29 Feb 2008 13:03:58 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">foolproject.blog.shinobi.jp://entry/39</guid>
  </item>
    <item>
    <title>大人ゼオ清：パラレル/逃亡者神官×神子/howlingbird-03</title>
    <description>
    <![CDATA[<br />
<br />
例え、道を違えても<br />
貴方がいれば<br />
<br />
<br />
<br />
「追手は!?」<br />
「四人だ&hellip;&hellip;チッ。お前がぐずぐずしているからだ」<br />
森を駆ける風に紛れて、激しく木々を薙ぎながら走り続ける。<br />
目は周囲を常に伺い、心臓は飛び出しそうなほどに脈打って止まらなかった。<br />
空は宵闇。明かりとなる物などない森は己の姿を隠すが、同じように相手の姿も隠している。<br />
手負いの自分が居る今の状態では、不利なのは明確だった。<br />
「俺が術で迎え撃った方が&hellip;&hellip;」<br />
見つかってしまったのは自分のせいだ。<br />
然るべき行為をしなければいけない、とゼオンに目を向ける清麿に、ゼオンは機嫌の悪そうな目を返すと首を振った。<br />
「相手はお前の術を制する術を知っているだろうが。勝ち目が有ると思ってるのか」<br />
「だが&hellip;&hellip;」<br />
自分のせいでこうなってしまったのだ。ならば。<br />
まだ食い下がる清麿に、ゼオンはしばし無言だったが&hellip;&hellip;。<br />
足を止めると、清麿を手で押して転ばせた。<br />
いきなりの行為に受身も何も出来ず、無様に地面に倒れる。何が起こったのか脳が理解できず、そのまま動けない。<br />
そんな清麿を見て、ゼオンは機嫌の悪い、しかしどこか決心したような声音で、告げた。<br />
「&hellip;&hellip;俺が迎え撃つ。貴様はそこで横になってろ。邪魔だからな」<br />
「――!?」<br />
咄嗟に驚いた顔を向けるも、ゼオンはもう歩き出していて。<br />
引き止めようとして体を起すが、足に痛みが走ってうまく行かなかった。<br />
この前の傷がまだ完治していないのだ。<br />
その傷に動きと止められた清麿を振り返りもせず、ゼオンはとうとう森の奥へと消えてしまった。<br />
「&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;」<br />
消えた背中に、言葉を失う。<br />
「ゼオン&hellip;&hellip;」<br />
掠れたその声に篭るのは、置いていかれたことへの怒りではない。<br />
ただ、相手の身を案ずるような、悲しげな声音だった。<br />
清麿はそのまま上体だけを起こすと、手を組み合わせて、ただ祈る。<br />
今の自分に出来る事は、ただ、祈ることだけだった。<br />
「ゼオン&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;ゼオン&hellip;&hellip;！」<br />
夜が動いて、月が顔を出す。<br />
仄かな光が自分を照らした事を感じ取りながら、清麿は瞼を閉じた。<br />
「お願いだ&hellip;&hellip;アイツだけなんだ俺を救ってくれたのは&hellip;&hellip;アイツなんだ、アイツじゃなきゃ、俺は&hellip;&hellip;嫌なんだ！　だから&hellip;&hellip;だから、死なせないでくれ&hellip;&hellip;！」<br />
<br />
<br />
<br />
最初の出会いは最悪だった。<br />
会えば喧嘩の毎日で、ゼオンには良い所など無いと思っていた。けれど、出逢った時からゼオンを思わない日はなくて。<br />
顔を合わせたくないと思う日などなくて。<br />
彼の本当の思いや境遇を知ってからは、その感情は日に日に強くなって行って、堪らなかった。<br />
<br />
望まずに神官となり、灰のようにさらさらと風化していくはずだった、心。<br />
誰も己の心など知らぬだろうと、閉じきっていた思い。<br />
<br />
それは、清麿と同じで。<br />
境遇こそ違えども、同じ道だった。<br />
それでもゼオンは自分に答え、籠から出してくれた。<br />
自由を、思いを、くれた。<br />
だから。<br />
<br />
<br />
<br />
「だから&hellip;&hellip;だから俺は、アイツに応えて行きたいんだ。アイツと、一緒にいたいんだ&hellip;&hellip;」<br />
運命の軛を壊し、宿命を踏みつけ、道を違えたとしても構わない。<br />
進むべき道を逸れたとしても。<br />
最期まで共に行くのだと、誓った人だから。<br />
「お願いだ、ゼオン&hellip;&hellip;死なないでくれ&hellip;&hellip;」<br />
耳の傍を通り抜ける暴風が、月光を奪う。<br />
また、夜が動く。<br />
風の叫びの後に続くは絶え無き攻撃の音。<br />
その音を、ただ聞いていることしか出来ない自分が、もどかしい。つらい。<br />
けれど、それでも、祈らずには居られない。<br />
それほど、想う者だから。<br />
「ゼオン&hellip;&hellip;」<br />
一掃の風が、音を奪う。<br />
光は風に揺れて灯火のように激しく揺らめいた。<br />
そして。<br />
<br />
<br />
「&hellip;&hellip;随分と&hellip;&hellip;殊勝な声だな？　神子様よ」<br />
<br />
<br />
待ち望んだ、その声。<br />
「&hellip;&hellip;&hellip;！！」<br />
歓喜を表わす顔の向けられた先には、傷を負い、それでも、勇壮と舞い戻った愛する姿。<br />
「&hellip;&hellip;泣くな、清麿」<br />
言われて、泣いていたのかと気づく。<br />
けれど、そんな事はどうでも良かった。<br />
痛む足を立たせ、震える肩を抑え、よろめく体で、ゼオンに駆け寄る。<br />
月は、その全てを照らしていた。<br />
「遅いんだよ&hellip;&hellip;！」<br />
抱き締めたその背中は、ボロボロで。抱き締め返されたその腕は、傷だらけで。<br />
「遊んでいただけだ。これくらいでどうなるものでもない」<br />
それが嘘だと解っているのに、頷かずにはいられなかった。<br />
「だったらもっと&hellip;&hellip;早く、傷なしで、帰って来いよ&hellip;&hellip;」<br />
「&hellip;&hellip;それが、戦ってきた奴に言う言葉か」<br />
「&hellip;&hellip;そうだよっ」<br />
悪いか、と悪態をついて、口付けるのは血を滲ませた唇。<br />
白と黒しか無い宵闇の色の中、その血の色だけは、ずっと、二人をその世界から隔てていた。<br />
「行くぞ。&hellip;&hellip;さっさと境を越える」<br />
「でも&hellip;&hellip;道が、解らない」<br />
それにゼオンの傷もまだ良く解らないのだ。歩くことは無理ではないのかと瞳で問うと、ゼオンは冴えた目で、こちらをみた。<br />
「俺が道を違えると思うか」<br />
「&hellip;&hellip;」<br />
暫しの沈黙。<br />
だが、清麿は血の付いた口に笑みを浮かべると、言ってやった。<br />
「思う。&hellip;&hellip;でも、それでも、構わない」<br />
その言葉にゼオンは――笑った。<br />
「&hellip;&hellip;行くぞ」<br />
夜は絶え間なく動く。<br />
月は陰り照らす。<br />
道など無いような、道。<br />
例えそれが間違った道だとしても<br />
(俺は、お前となら&hellip;&hellip;お前と一緒なら&hellip;&hellip;後悔など、しない)<br />
<br />
<br />
<br />
どんな困難な道だろうと<br />
ゼオンと一緒なら<br />
<br />
越えてみせる<br />
<br />
だから<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
(お前は絶対に、死なせない)<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
清麿の密やかな誓いは、風の嘶きにまぎれて消えた。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
(2007/04/05)]]>
    </description>
    <category>小話収納所</category>
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    <pubDate>Fri, 29 Feb 2008 12:58:49 GMT</pubDate>
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  </item>
    <item>
    <title>ガ清：パロディ/李も桃も/ｼﾓﾈﾀ注意/設定改変</title>
    <description>
    <![CDATA[<br />
<br />
俺の家に、一人の『野郎』がやって来た。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
「清麿ー！」<br />
時は夜半。空には月と星。風も無く静まり返ったその時間に、元気すぎる声が駆けて来た。<br />
「&hellip;&hellip;」<br />
清麿はその声に顔を思いっきり歪めると、ベッドへ入り込んで扉に背を向ける。<br />
これからやって来る者に、関わりたくなかったからだ。<br />
眠たくも無いのに寝なければいけないと言うのも辛かったが、そうしなければもっと厄介な事になる。それを重々承知していた清麿は、そうするしかなかったのだ。<br />
「清麿っ！」<br />
声がして、ドアが勢いよく開けられる。<br />
もうきやがったかと舌打しそうになったが、堪えて狸寝入りを決め込んだ。<br />
「ウヌ？　清麿&hellip;&hellip;寝ておるのか？」<br />
声が近づいて来る。<br />
自然と強張る体を何とかリラックスさせ、清麿はその声の主がさっさと自室を出て行ってくれる事を祈った。だが。<br />
「&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;」<br />
(なんか、なんか近いって!!　息遣いめっちゃくちゃ聞こえてくんじゃねーかっ!!)<br />
あろうことか、物凄ーく近くから、そりゃあもう、こちらが苦しくなるほどの呼吸を相手は響かせているのである。<br />
何のかんの言う前に、キモイ、という単語しか清麿の頭の中には思い浮かばなくなる。<br />
「清麿」<br />
(ギャーッ!!　近い、近いってなにやってんだコイツ!!)<br />
息が近づいてくる。ベッドが軋んで、後ろから何かがやってくるのが解る。<br />
多分これは、多分&hellip;&hellip;。<br />
「きよま」<br />
「近付くんじゃねぇええええ!!!」<br />
頭が遂に考える事をやめたのか、それとも息遣いに切れてしまったのか、清麿は我慢できずに後ろに居た声の主を、殴り飛ばしてしまった。<br />
「ヌォオオオオ！」<br />
綺麗に放物線を描く鼻血を出しながら、扉の前まで吹っ飛んだのは&hellip;&hellip;男。<br />
しかも、まだ幼い少年&hellip;&hellip;。<br />
その姿を見て、清麿は角を生やした。<br />
「ガァアアッシュ&hellip;&hellip;人の寝込みを襲うたぁいい度胸じゃねぇか&hellip;&hellip;」<br />
蛇のような舌をちろちろと出しながら、般若の顔でそう言えば、相手は鼻血を出しながら何かを抱えてすぐに起き上がった。<br />
「仕方なかろう！　清麿はいつまで経っても私を受け入れてくれぬでは無いかっ　それでは秘儀が完成せぬのだ！」<br />
金の髪を靡かせて、とんでもない事をいうガッシュに、清麿は眉を吊り上げた。<br />
「そっちの都合で夜這いされて堪るかってんだ！　大体俺は女じゃねえんだぞコラァ!!」<br />
「我らが『波夷羅一伝無双流・本尊歓喜法』は愛し合っている者同志が交わらねば始まらぬのだぞ!　私が他の女と交わってもなんの意味も無いのだ」<br />
その台詞に頭がぐらりとする。<br />
酔った、とかそういう事ではなく、ただ単に相手の言っている事があまりにこちらを無視しているので、眩暈が起きただけである。<br />
清麿はそれでも負けずに、ガッシュを睨んだ。<br />
「だからって迫ってくんなよ!!」<br />
「仕方なかろう、十二神将の和平のためなのだ。私達が交わらぬと、永遠にわだかまりは解けないのだ」<br />
そういいつつ、頬を染めるガッシュ。<br />
ああ、なんともませている。<br />
しかし、成りは小さくとも相手は「辰」の後継者。無理に迫ってくれば勝てないことは解っていた。けれど、絶対<br />
絶っっ対、こんな子供(しかも男)とは性交したくなかった。<br />
<br />
と、いうか、どうやってこんな子供を相手すればいいのだ。<br />
<br />
「俺には関係ねぇ!」<br />
「またまた～照れるでない、清麿！　まあ、最初はまだ慣れぬだろうという事は解っておる。なので、コレを持ってきたのだ」<br />
「&hellip;&hellip;人の話を聞け&hellip;&hellip;」<br />
ガッシュは項垂れる清麿に構わず、持っていた謎の物体をコチラに見せ付けた。<br />
力なくそれをみて、清麿は眉根を寄せる。<br />
枕&hellip;&hellip;枕では有るが、それには何か書いてあり、普通のものではないと解る。<br />
合わなくなりそうになる目の焦点を合わせて、清麿はうんざりした声でつぶやいた。<br />
「&hellip;&hellip;YesNO枕か&hellip;&hellip;」<br />
そう。新婚さんがいらっしゃいされる番組で貰えるそれを、ガッシュはコチラへ掲げてきたのだ。<br />
「いや、違うのだ！」<br />
「&hellip;&hellip;は？」<br />
爽やかに否定されて、思わず疑問符が頭に浮かぶ。<br />
その枕の何が違うのだと無言で問う清麿に、ガッシュは誇らしげに鼻を鳴らすと&hellip;&hellip;<br />
その枕を、裏返しにした。<br />
そこには。<br />
「これはYesNOではなく&hellip;&hellip;<br />
<br />
<br />
<br />
Yes　OK　枕なのだ!!」<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
ああ、裏側にくっきりと、OKの文字が見える。<br />
ハートの中に、OKと描かれている。<br />
確かにNOではなく、YesOK枕だ。<br />
間違いようは無い。<br />
が。<br />
「ガァアアアアアッシュ!!　いい加減にしろーーーーッ!!!」<br />
「な、何故怒るのだ清麿ーーーっ!!?」<br />
そんなモン渡されてたまるか。<br />
と言わんばかりに魔王へと変化した清麿に、ガッシュは目を飛び出させんばかりに驚きながら、そのまま――思いっきり拳骨を喰らったのだった。<br />
<br />
<br />
<br />
これが、彼らの毎度の夜の出来事である。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
(2007/03/27)<br />
変な所切り取ってすみませんorz]]>
    </description>
    <category>小話収納所</category>
    <link>https://foolproject.blog.shinobi.jp/%E5%B0%8F%E8%A9%B1%E5%8F%8E%E7%B4%8D%E6%89%80/%E3%82%AC%E6%B8%85%EF%BC%9A%E3%83%91%E3%83%AD%E3%83%87%E3%82%A3-%E6%9D%8E%E3%82%82%E6%A1%83%E3%82%82-%EF%BD%BC%EF%BE%93%EF%BE%88%EF%BE%80%E6%B3%A8%E6%84%8F-%E8%A8%AD%E5%AE%9A%E6%94%B9%E5%A4%89</link>
    <pubDate>Fri, 29 Feb 2008 12:52:35 GMT</pubDate>
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    <item>
    <title>大人ゼオ清：パラレル/逃亡者神官×神子/howlingbird-02</title>
    <description>
    <![CDATA[<br />
<br />
それは、言葉にならないほどの眩さ。<br />
<br />
<br />
<br />
夜がもうすぐ明ける。<br />
薄っすらと光に染める空を見上げ、ゼオンは目を細めた。<br />
「&hellip;&hellip;夜が明けるな」<br />
声量を落とした密やかな声でそう呟き、今度は己の胡坐を掻いた足を見る。<br />
片方に一つ、頭が乗っていた。<br />
だが、それは勝手に載せられたものではなく、自分が勝手に置いたもの。不平も何も無い吐息を漏らし、ゼオンはその頭をそっと動かした。<br />
「&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;」<br />
角度を変えると途端に現れる、子供のような可愛らしい寝顔の少年。<br />
ゼオンはその姿を見やり、口のみを優しく歪ませた。<br />
「&hellip;&hellip;よく、寝ている」<br />
優しい声で呟いて思い出すのは、この少年が神殿に閉じ込められていたあの時のこと。<br />
<br />
――あの時は、彼は夜番で就いていたゼオンを睨みながら、ずっと眠らずにいた。<br />
<br />
自分以外の総ては敵だとでもいうように、全てを睨みつけ、警戒し、決して弱さを見せなかった。<br />
最初はそんな態度の少年――清麿には良い思いを抱かなかったが、今となるとその考えは何とも愚かなものだったと思える。<br />
「そうでなければ、連れて逃げはしない」<br />
大きな掌でその漆黒の髪を梳けば、それはすぐに指の間から滑り落ちる。柔らかく心地良いその感覚に目を細めて、ゼオンはただ、安らかに眠る清麿を眺めていた。<br />
<br />
<br />
彼の背負っている運命は、知っていた。<br />
国の宝として一生を籠の中で過ごし、その力を国の為に使う「物」。<br />
それが、彼の運命だった。<br />
両親とも引き離され、その力のせいで捕らえられた清麿は、感情を無くし誰も信用しなかった。<br />
けれど、それを最初から知っている訳ではなく。故にゼオンはずっと、清麿と大人げの無い喧嘩をしていた。<br />
(今思えば、天邪鬼だったのかもしれんな)<br />
一目見たときから、魅入られたかのように目を離せなかった、この姿。<br />
凛々しくも何処か悲しげな、清麿。<br />
どこか繋がる様な感覚がして、ずっと目が離せなかった。<br />
だから、こんな風になったのかもしれない。<br />
<br />
<br />
ゼオンはそう一区切りつけて、小さくなってしまった焚火を消した。<br />
すえた臭いがして、白煙が控え目に現れて消える。<br />
朝がやってくる独特の空気を少しだけ吸い込んで、ゼオンはまた空を見上げた。<br />
(魅入られた&hellip;&hellip;か。&hellip;&hellip;まあ、それでも構わん。俺は今、一番&rdquo;生きている&rdquo;気がするからな)<br />
愛しいと思う者を守り、その腕に掻き抱いて、夢へと走る。<br />
今までの死んだような自分には見えなかった、今の景色の鮮やかな事。<br />
それは、昔なら考えられないほどで。<br />
総ては清麿と出逢ったからこそ、見れた景色だった。<br />
(朝がこれほど待ち遠しいと思ったことは無いくらいだからな)<br />
自分の心は、清麿のせいで大幅な模様替えをしてしまったらしい。<br />
怒るどころか苦笑の沸くその事実に顔を歪めながら、ゼオンは大きく息を吐いた。<br />
冷たい空気も、この空の色も、森が影から翠へ変わっていく景色も、皆総て美しい。<br />
灰色の世界だと思っていた総てが、清麿によって、色のある世界へと塗り替えられていった。<br />
「ん&hellip;&hellip;ゼオ&hellip;&hellip;ン？」<br />
仄かに山の間から漏れる光に気付いたのか、寝ぼけ眼を擦りながら、清麿が目を覚ます。<br />
その仕草が可愛らしいと思いつつも、口はお決まりのように別の言葉を放り投げていた。<br />
「やっと起きたか。お前は寝坊が趣味らしいな」<br />
言うと、相手が頬を紅潮させながら反論してくる。<br />
「なっ&hellip;&hellip;んなワケないだろ！　っていうか、まだ早朝じゃないか、お前が早起きなだけだ！」<br />
「お前が早く起きれば、その分距離を稼げたんだがな」<br />
と、意地悪く言うと、口を尖らせて言葉に詰まる相手。<br />
&hellip;&hellip;これがあの凛々しい神子なのだから、堪らない。<br />
しかし、そんな清麿だからこそ、ゼオンはかけがえが無いものだと思えたのだ。<br />
相手が完全に目が覚めたのを見取って、立ち上がった。<br />
「清麿、行くぞ&hellip;&hellip;今日こそ、境を越える」<br />
「お&hellip;&hellip;おう」<br />
慌てて立ち上がる麗しい神子に、ゼオンはまた憎まれ口を叩こうとして&hellip;&hellip;<br />
やめた。<br />
「清麿」<br />
「ん？」<br />
ただ名前を呼ぶだけで、相手は寄り添い、こちらを見てくれる。<br />
色をくれたその瞳が、自分を映す。<br />
曙光が緩やかに昇り、清麿の頬を照らすのを見て――ゼオンは、言った。<br />
「&hellip;&hellip;必ず、越えるぞ」<br />
<br />
<br />
思いの半分も言えていない、台詞。<br />
本当に伝えたい気持ちに届かない、陳腐な言葉。<br />
けれども、清麿は。<br />
「&hellip;&hellip;ああ、一緒に、絶対一緒にな」<br />
陽光にも似たその笑顔を、自分にだけ、向けてくれた。<br />
<br />
<br />
希望の曙光にも似た、眩いその笑顔。<br />
色を取り戻してくれる、その眩い存在。<br />
清麿がいるだけで、言葉にならないほどの想いが、愛しさが、新しい世界が、広がってくる。<br />
もっと、好きになっていく。<br />
<br />
<br />
<br />
「&hellip;&hellip;行くぞ」<br />
「ああ」<br />
<br />
俺は、その存在を守る。<br />
その存在と共に有る為に、ここにいる。<br />
<br />
<br />
ゼオンは清麿の手を取ると、そのまま前を見て、歩き出したのだった。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
(2007/03/24)<br />
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    </description>
    <category>小話収納所</category>
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    <pubDate>Fri, 29 Feb 2008 12:46:49 GMT</pubDate>
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  </item>
    <item>
    <title>大人ゼオ清：パラレル/逃亡者神官×神子/howlingbird</title>
    <description>
    <![CDATA[<br />
<br />
<br />
夜の帳は落ち、既に灯りは星。月も顔を出す事は無いこの晩は、彼らにとっては神に感謝すべき夜だった。<br />
<br />
<br />
<br />
「ハァッ&hellip;&hellip;ハァ、ハァ&hellip;&hellip;ゼオン、俺達&hellip;&hellip;どこまで走ってきたんだろうな？」<br />
息を切らせながら、清麿は草の上に座りこんだ。辺りは鬱蒼と茂る木々の壁。遠くに見える町明かりは、星の光のように小さかった。<br />
その光景を見ながら、振り返る。<br />
そこには、微かな星明りに光る美しい銀色の髪を靡かせた、神官が立っていた。<br />
「&hellip;&hellip;他の街へ行く街道の分岐点だ。まだ町は近い。疲れたのか？」<br />
いいながら片眉を上げる相手に、清麿はムッとした顔を披露する。<br />
態度からしてコチラを嘲笑っているのが見え見えだ。<br />
「&hellip;&hellip;ンなこと&hellip;&hellip;ある訳、ねぇだろっ!!」<br />
コチラよりも年下だと言うのに、ゼオンは自分より背も態度も大きい。いや、大きすぎる。<br />
清麿はそう思いながら、憮然とした顔を隠しもせずに立ち上がった。息は切れているが、限界ではない。<br />
睨みつけてくる清麿を見て笑うと、ゼオンはとある方向を向いた。<br />
「明日までに境を越えるぞ。ここからなら、すぐに他へ逃げられる」<br />
少ない荷物を背負いなおし、こちらに冴えた紫の瞳を向けるゼオン。<br />
それを暫し見やって、清麿は歩き出そうとした。が。<br />
「痛ッ&hellip;&hellip;！」<br />
異常なほど痛んだ足に、バランスをとられて倒れこむ。一瞬何が起こったか解らなかったが、左足がズキズキと痛んでいることに気付いた。多分、神殿の壁を飛んだ時に、足をどうかしたのだろう。目を見開いた清麿に、ゼオンは屈みこむ。<br />
「どうした」<br />
覗き込んでくる相手に、清麿は一瞬全てを話そうとしたが、それをやめて立ち上がろうと首を振った。<br />
「い、いや&hellip;&hellip;何でもない。&hellip;&hellip;それより、先を&hellip;&hellip;っぅ&hellip;&hellip;！」<br />
起き上がれる、と思ったら、また足が痛み転んでしまう。疼痛とも鈍痛ともつかないそれは、清麿の足を腫上がらせて己を象徴していた。それを見つけて、ゼオンはふう、と息を漏らす。<br />
「足を痛めたか。&hellip;&hellip;何故、先に言わん」<br />
どうせまた、ちくちくと嫌味を言われる。そう思ったが、逃げられる足もないので、清麿は眉を顰め弁解した。<br />
「気付かなかったんだ。必死に走っていたから。&hellip;&hellip;平気だ、まだ歩ける」<br />
いいながら立ち上がる清麿。また何か嫌味を言われるのは御免だった。<br />
しかし、ゼオンはそんな清麿をみやり。<br />
「お前は、本当にあの聡明な神子か？」<br />
呆れたようにいいながら、清麿の腰をぐっと掴んで、引き寄せた。<br />
「！！　なっ&hellip;&hellip;何を&hellip;&hellip;」<br />
と言う間に、清麿はなぜかゼオンに背負われていた。勿論、荷物は清麿の背中に移動している。驚いてゼオンを見ようとするが、背中からでは横顔ぐらいしか見えなかった。<br />
「あのまま歩かれても迷惑だ。こんな足では明日境を越えられるかも怪しいからな。それに、悪化しても今の俺には治癒術は使えん」<br />
そう勝手に言い放って、ゼオンはまた走り始めた。<br />
軽快な風が頬を撫でていく。その心地を味わいながら、清麿は少しだけ怒ったような顔をして&hellip;&hellip;表情を和らげた。<br />
「&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;すまん」<br />
体を預ける広い背中。暖かいその温度に酔いながら、清麿は深く体を寄せた。<br />
ゼオンはそんな清麿の心を読み取っているかのように、ぼそりと呟く。<br />
「&hellip;&hellip;後悔は、してないか」<br />
「え？」<br />
不意に問いかけられた言葉に、清麿は目を見開いた。<br />
「&hellip;&hellip;俺と逃げて、本当に、後悔はしていないのか」<br />
背中から伝わる鼓動が、早くなっているのが解る。<br />
ゼオンは、隠しているのだ。自分の思いや、感情を。<br />
――清麿はその思いを読み取るようにして、頬を背中へと押し当てた。<br />
「&hellip;&hellip;後悔、してないよ。&hellip;&hellip;俺はお前と居たいから&hellip;&hellip;お前と生きたいから、逃げたんだ。あんな牢獄から&hellip;&hellip;だから&hellip;&hellip;後悔なんて&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;してない」<br />
熱が頬に伝わる。熱くなった体を、冷たい風が冷やしていく。それはとても気持ちが良くて。<br />
いつの間にか、目にまで伝わった熱が、溢れ出そうになっていた。<br />
けれど、それを拭うことはできず。<br />
ただただ、清麿は相手の背を抱きしめた。<br />
「&hellip;&hellip;そうか」<br />
ゼオンは、それだけしか言わない。<br />
けれども、相手がどう思っているのか、どう清麿を想っているのか、それはきちんと心に届いていた。<br />
世界の知恵を知り、神の力を貰い受け、その賢さ故に国の『物』と成り果て朽ちてゆく筈だったこの身体。<br />
閉ざされた空間で、ずっと一人で生きていくのだと思っていた、人生。<br />
それを、ゼオンは変えてくれた。<br />
人も、希望さえも信じられなくなっていたこの心を紡ぎ直してくれたのは、誰でもない。ゼオンだった。<br />
だから。<br />
「お前が&hellip;&hellip;好きだ&hellip;&hellip;」<br />
目から溢れる涙という熱。己の腕にそれを染み込ませ、ただひたすら震える喉で、そう呟いた。<br />
これが、この思いが、この行動が、どれ程愚かで罪深いものか解っている。運命を捻じ曲げた事が、どれほど大変なことか、理解していた。けれども、ゼオンを好きにならずには&hellip;&hellip;居られなかった。<br />
「お前を連れ去ったのは、俺だ。今なら、俺だけが逃げてお前をココへ置いておけば、双方繋がりは切れる。お前は罪を問われもしない」<br />
清麿を背負うその腕に力が入るのが解った。<br />
涙で霞んだ視界に見えたゼオンの横顔は、とても辛そうに映る。<br />
「ゼオ&hellip;&hellip;ン」<br />
「だがな」<br />
そういい、ゼオンは足を止めた。<br />
風が止む。<br />
「&hellip;&hellip;？」<br />
不安げに眉を寄せた清麿を降ろし、ゼオンは腰を屈めて、清麿の頬に手を触れた。その熱さに清麿は目を見開き、ゼオンを瞳に映す。<br />
総ての時が、止まっていた。<br />
<br />
「俺は、それを、行うようなことは出来ん」<br />
<br />
呟いて、その体は清麿に向かって傾いだ。<br />
その腕は再び清麿を抱き締め、体を包む。そしてそのまま、ゼオンは清麿の唇に、自分のそれを乱暴に押し当てた。<br />
熱く、らしくもない熱情を込めた、キス。<br />
語られぬ思いを再び注がれる思いで、清麿は強く抱きしめられた腕に答えるように、ゼオンを抱き締め返した。<br />
「お前が他の者に奪われたら、そいつを八つ裂きにしてやる&hellip;&hellip;お前が余人に触れられたら、そいつを殺してやる&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;一生、誰にも渡さん。だから&hellip;&hellip;絶対に、お前を離したりはしない」<br />
言い、噛み付くように首筋に口付けた。<br />
その熱も、思いも、染み込んでくるようで。いやと言うほど清麿を思っている事が伝わってきて。<br />
清麿はなすがままになりながら、ずっと、星空を眺めて泣いているしかなかった。<br />
<br />
「ゼオン&hellip;&hellip;」<br />
呼ぶ名は、かつて神官だった者。<br />
「&hellip;&hellip;清麿」<br />
呼ぶ名は、かつて神子だった者。<br />
だが、もう、今は「かつて」のことなど関係ない。<br />
進むのだ。必ず、ここから出て行くのだ。<br />
<br />
<br />
もう、二度と離れ離れにならないように。<br />
二人で、必ず幸せになる為に。<br />
<br />
<br />
「ゼオン&hellip;&hellip;二人で、ずっと二人で居られる場所に、行こう。絶対に、二人で」<br />
「&hellip;&hellip;ああ」<br />
互いに繋がった思い。熱を分け合う、その身体と心。<br />
籠という名の場所を逃げ出して望むのは、引き離されることの無い場所。<br />
幸せになれる、場所。<br />
だから、絶対に、逃げ切る。離れたりはしない。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
清麿の目にゆらゆらと映る町明かり。<br />
それはずっと、清麿の瞳に灯っていた。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
(2007/03/18)<br />
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    </description>
    <category>小話収納所</category>
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    <pubDate>Fri, 29 Feb 2008 12:41:18 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">foolproject.blog.shinobi.jp://entry/35</guid>
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    <item>
    <title>大人ゼオ清：魔界/攻視点/切な/片思い</title>
    <description>
    <![CDATA[<br />
<br />
「清麿」<br />
何度、この名を呼んだだろうか。<br />
<br />
<br />
<br />
「&hellip;&hellip;ゼオン」<br />
夕景の広がる世界。総てが紅に染まり、光でさえも橙になるその世界を、清麿はずっと眺めていた。<br />
テラスから見えるのは、山脈と空のみ。<br />
ずっと見続けてきたその世界を、ずっと彼は眺めている。<br />
そして、自分もそんな清麿を、ずっと見ていた。<br />
何時からこうしていただろうか。<br />
気がつけば、清麿を探していて、ここで見つけて、こちらに気付いてくれるまで、ずっと待っていた。<br />
何故、声をかけなかったか。<br />
解りきったことだった。<br />
「&hellip;&hellip;やなとこ、見せちまったな」<br />
そう言って、頬を、目を拭う清麿。<br />
振り向いた瞬間のその顔は、今にも決壊しそうな感情を抱えて、幾重のもの光の筋を頬に伝わせた、子供のような顔だった。<br />
――泣いていたのだ。<br />
「いや、構うな。俺が勝手にお前を見つけただけだ」<br />
ゼオンがそう言えば、相手は強がりの言葉を返して笑う。<br />
「構うなって&hellip;&hellip;構わねぇほうがおかしいよ。大人にもなって、こんなに泣くなんて&hellip;&hellip;恥しいったらないよな」<br />
無理に笑う顔が、心に痛い。<br />
解っていた。相手が、無理に笑っているのだと。だから、余計に胸が締め付けられるようだった。<br />
近付いて、清麿の頬にそっと手をやる。<br />
清麿は突然の行動に驚いていたが、拒絶はしなかった。そしてそのまま、自分のなすがままにさせている。<br />
それが、もっと胸の痛みを強くさせた。<br />
「&hellip;&hellip;構うな。泣いて当然だ。&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;『ガッシュが遠征で負傷した』なんて知らせを聞けば、不安でたまらなくなる」<br />
いつも一緒に居た。平和な時間に、傷なんて一つも無かった。だから、降って湧いたこの戦争で誰かが負傷するのが、愛しい者が手の届かない所で傷つくのが、耐えられなかった。<br />
逢えない距離が、一層不安を増す。<br />
心を弱くする。<br />
ゼオンも、それは理解している。だから、今の弱い清麿を怒鳴る気になどなれなかった。<br />
(&hellip;&hellip;いや、違う)<br />
怒鳴れない、のだ。<br />
「怖い&hellip;&hellip;怖いんだ&hellip;&hellip;誰かが死んでいく、誰かが怪我をする&hellip;&hellip;ガッシュが&hellip;&hellip;ガッシュが死んでしまうかもしれない&hellip;&hellip;もう、もうここには&hellip;&hellip;戻って来ないかも知れないって考えたら&hellip;&hellip;!」<br />
知性に満ちた顔が歪む。<br />
いつも背伸びをして、年齢以上の姿勢を保ち続けていた彼の仮面が、割れた。<br />
途端に悲しげに柳眉を顰め、涙を湛えた瞳が現れる。口はどうにかしてこの感情を押し殺そうと歯を食い縛っていた。<br />
「&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;」<br />
「ゼオン、ゼオン&hellip;&hellip;！　絶対、ぜったい&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;ガッシュは、帰って&hellip;&hellip;くるよな？」<br />
子供のように、目を瞑って涙をやり過ごそうとするその顔が、甚く悲しい。<br />
気を張り続けて、城を守り続けていた清麿の我慢は、はち切れてしまったのだろう。<br />
だから、自分に<br />
自分にだけ、感情をぶつけた。<br />
「&hellip;&hellip;清麿」<br />
手が勝手に動く。<br />
衝動は感情を越え、心臓は高鳴っていた。<br />
両腕は空を遮って、清麿の細い体を掻き抱く。僅か数秒の間に奔出した気持ちが、清麿を強く抱き締めていた。<br />
「ぜ、お&hellip;&hellip;」<br />
「帰ってくる。&hellip;&hellip;帰って&hellip;&hellip;来る」<br />
<br />
だから、泣くな。<br />
<br />
呟いたその言葉は、感情の枷を壊した。<br />
「&hellip;&hellip;っ」<br />
胸に染み込んで来るその熱と、涙が、体を熱くした。嗚咽を上げるその子供らしい泣き方が、心を揺さぶった。<br />
自分にだけ見せる、その感情が、とても愛しかった。<br />
けれど。<br />
<br />
(&hellip;&hellip;清麿は、ガッシュを愛している)<br />
<br />
解りきっていたことだった。<br />
&hellip;&hellip;清麿は、ガッシュの為に泣いている。ガッシュの為に頑張っている。総て、彼の愛している王の為に&hellip;&hellip;行っている行動だった。<br />
だから、今までずっと頑張っていたのだ。<br />
けれども。けれども、どうしても、感情を抑えることなど出来なかった。<br />
愛しいものを抱く手に、力が入る。<br />
肩を震わせる人が、己よりも脆弱な存在だと思い知るたび、愛しいと言う気持ちは増していった。<br />
だが。結局、この人は。<br />
(&hellip;&hellip;ガッシュの物だ)<br />
感情が壊れるほど愛しているのに、強く抱くほど思っているのに、この気持ちは届くことは無い。<br />
これほど思っているのに、自分は所詮仲間でしか無い。<br />
気持ちを抱えれば抱えるほど、辛いのは解っていた。けれど、我慢できなかった。<br />
それほど<br />
清麿を、好きになっていたから。<br />
「清麿&hellip;&hellip;」<br />
抱き締めるその体は、自分よりも小さい。<br />
胸に縋りつく姿は、自分よりも大人だという事を忘れてしまいそうで。<br />
ずっとこうして、清麿の本当の姿を見続けたゼオンにとっては、その総てが本当に愛おしいものだった。<br />
声が、掠れる。<br />
壊れるほどの思いが詰まった呼びかけには、誰も答えはしない。<br />
けれども、呼ばずにはいられなかった。<br />
「ガッ&hellip;シュ&hellip;&hellip;ガッシュ&hellip;&hellip;!!」<br />
相手が呼ぶ名は自分のものじゃない。<br />
ずっと、ずっと、こんなにも想っているのに、この気持ちが届くことは、叶う事は、絶対に無い。<br />
誰よりも、清麿のことを知っているのに。<br />
<br />
(&hellip;&hellip;ずっと&hellip;&hellip;こうしていられたら&hellip;&hellip;)<br />
<br />
<br />
<br />
その願いも、叶う事は無い。<br />
<br />
<br />
<br />
解っていながらも、そう願うことを止められなかった。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
ずっと思い続けている。<br />
ずっと、支え続ける。<br />
愛しているから。<br />
本当の姿を、知っているから。<br />
笑っている彼を見るのが、一番好きだから。<br />
<br />
<br />
だから、<br />
苦しくても、辛くても<br />
このままで、いい。<br />
何度でも<br />
名を、呼び続けるから<br />
<br />
<br />
<br />
もう少しだけ<br />
このままで、いさせて下さい。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
(2007/03/05)]]>
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    <category>小話収納所</category>
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    <pubDate>Fri, 29 Feb 2008 12:34:49 GMT</pubDate>
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