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幸せ

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なんでコイツと一緒にいるかなんて分からないけど。




「ふぁ……」
「……眠いのか」

思わず欠伸をした俺を見て、隣にいたデュフォーが小さく呟いた。慌てて開いていた口を押さえ、微苦笑を相手へ向ける。

「い、いや!その、別に…」
「無理しなくてもいい」

相変わらずの無表情な声でそう言われ、申し訳ない気持ちになる。
しかし、喋っていないのも何だか居たたまれなくて、俺は理由を勝ってに話だしていた。

「その……昨日さ、ちょっと調べ物があって眠れなくて…ごめん」

無言の相手の反応が分からなくて、俺は膝をかかえて俯いた。そして、ちらりと隣を目だけで見やる。


人形のように無表情で、綺麗な横顔。


…こんなデュフォーを間近でみて、いつも思う。
何で俺らは一緒にいるんだろうと。

俺らは敵同士。
性格も合わないし、話題も乏しい。
相性は最悪。

…でも、一緒にいる。



今のこの時間がとても不思議な物に思えた。

「……」

何故か、そう思うととても眠くなった。
…何でだろ。
今まで、人前でこんなに眠たくなる事なんてなかったのに。

「……」

我慢しきれずに目をこする俺を、何故だかデュフォーはじっと見つめていた。
何でだろうとそちらを見ると、



いきなり、デュフォーの膝へ頭を押しつけられた




「え…え!!?」

訳が解らず思わず混乱した俺を見下ろし、デュフォーは淡々とした声で呟いた。

「…寝ろ」
「はぁ!!?」

全く意味が解らない。素っ頓狂な声で問い返すと、デュフォーは無表情なままで俺の顔に自分の顔をギリギリまで近づけた。

「動物は安心出来る物の傍にいると眠くなる。お前は俺といると安心するという事だろう」

その言葉について行けず暫しボーっと聞いていたが、ようやく意味が解って、俺は顔が熱くなるのを感じた。



もしかして…
デュフォー、そんな事で……
喜んでくれてるのか?




「だから、寝ろ」

顔を離して、武骨な手が優しく髪を梳く。
顔には出ない優しさが、更なる眠りを誘った。

「ありがと…デュフォー…」

舌っ足らずな自分の声が些か恥ずかしいと思ったが、すぐにその気持ちも薄れ、俺は優しい眠りへと落ちていった。
最後にデュフォーが微笑んだのをうっすらと覚えながら。








なんでコイツと一緒にいるのかは、未だに解らない。
でも、今は思う。




もっと一緒にいたい…と。








(2006/05/31)
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