サイトでの小話の収納場所です。企画と平行してUPしていきます。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
幸せ
-------------
なんでコイツと一緒にいるかなんて分からないけど。
「ふぁ……」
「……眠いのか」
思わず欠伸をした俺を見て、隣にいたデュフォーが小さく呟いた。慌てて開いていた口を押さえ、微苦笑を相手へ向ける。
「い、いや!その、別に…」
「無理しなくてもいい」
相変わらずの無表情な声でそう言われ、申し訳ない気持ちになる。
しかし、喋っていないのも何だか居たたまれなくて、俺は理由を勝ってに話だしていた。
「その……昨日さ、ちょっと調べ物があって眠れなくて…ごめん」
無言の相手の反応が分からなくて、俺は膝をかかえて俯いた。そして、ちらりと隣を目だけで見やる。
人形のように無表情で、綺麗な横顔。
…こんなデュフォーを間近でみて、いつも思う。
何で俺らは一緒にいるんだろうと。
俺らは敵同士。
性格も合わないし、話題も乏しい。
相性は最悪。
…でも、一緒にいる。
今のこの時間がとても不思議な物に思えた。
「……」
何故か、そう思うととても眠くなった。
…何でだろ。
今まで、人前でこんなに眠たくなる事なんてなかったのに。
「……」
我慢しきれずに目をこする俺を、何故だかデュフォーはじっと見つめていた。
何でだろうとそちらを見ると、
いきなり、デュフォーの膝へ頭を押しつけられた
「え…え!!?」
訳が解らず思わず混乱した俺を見下ろし、デュフォーは淡々とした声で呟いた。
「…寝ろ」
「はぁ!!?」
全く意味が解らない。素っ頓狂な声で問い返すと、デュフォーは無表情なままで俺の顔に自分の顔をギリギリまで近づけた。
「動物は安心出来る物の傍にいると眠くなる。お前は俺といると安心するという事だろう」
その言葉について行けず暫しボーっと聞いていたが、ようやく意味が解って、俺は顔が熱くなるのを感じた。
もしかして…
デュフォー、そんな事で……
喜んでくれてるのか?
「だから、寝ろ」
顔を離して、武骨な手が優しく髪を梳く。
顔には出ない優しさが、更なる眠りを誘った。
「ありがと…デュフォー…」
舌っ足らずな自分の声が些か恥ずかしいと思ったが、すぐにその気持ちも薄れ、俺は優しい眠りへと落ちていった。
最後にデュフォーが微笑んだのをうっすらと覚えながら。
なんでコイツと一緒にいるのかは、未だに解らない。
でも、今は思う。
もっと一緒にいたい…と。
(2006/05/31)
PR
最新記事
(04/08)
(02/29)
(02/29)
(02/29)
(02/29)
ブログ内検索
プロフィール
HN:
aa
性別:
非公開