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サイトでの小話の収納場所です。企画と平行してUPしていきます。
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寝る前の内緒話

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「清麿」

 「ん?」

 「今日はの、沢山遊んだのだ!」

 「そうか」

 「バルカンと砂場でトンネルを作ったり、池で魚を探したり」

「うん」

 「ワイフと鬼ごっこもしたのだ!」

 「へぇ~」

 「でも途中でナオミちゃんに追っかけられてのぅ…まいったのだ!」

 「ははは。大変だったな」

 「全くなのだ!でもなんとか逃げ切れたのだ。」

 「お、やるじゃん」

 「毎回毎回追っかけられて、泣いてる訳にもいかないからのぅ」

「………」

 「清麿?」

 「ガッシュも成長してるんだな」

 「ウヌ!」

 「さあ、もう寝ねるぞ」

 「ウヌ!明日も、もっともっと成長するのだ!」

 「ああ。」

 「ガッシュ、お休み」

「お休み、清麿」





(2006/05/17)
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無題

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 バカな奴がいるんだ



「清麿~」


とうに知り尽くした声が後ろから近寄ってくる。
嬉しそうに俺の名前を呼んで、何が楽しいのか足音を弾ませてくる。
俺はその声を聞きながら、知らぬ振りをしていた。


「清麿、ここにいたのか」


幼い声はもう立派な青年の声に成長していて。


「仕事は終わったのか」


棘のついた口調でそう問うと、珍しく自信満々な答えが帰って来た。


「勿論!全部終わらせて来た」


そう言われ、背中から抱き締められた。
冷えた体に、暖かい体温が流れ込んでくる。心地良い。
けれどそれを感づかれたくなくて、俺はまた問いかけた。


「じゃあ戦闘訓練は。」
「私はやらずとも強い。清麿も知っておろう」


…そう。
こいつは…誰よりも強く、気高く、勇敢で…優しい王。
誰よりも愛されて、尊敬されて、崇められる魔界の覇者。

……俺が隣にいる事など、きっとおこがましいであろう、貴き王者なのだ。


なのに




「清麿、散歩に行こう!」
「はぁ!?何でだよ。もうすぐ日が暮れるだろ?」
「だから行くのだ!幼い頃、魔界で一番星が見える場所を思い出してのぅ。隠れ家…とでも言うか…。それを清麿に見せたいのだ!」



ほら
なのに、こいつは俺をそばに置く



「いいよ…それよりティオとか連れて行ってやれよ」


苦し紛れにそう言うと、少し怒ったような声が聞こえてきた。


「私は、清麿だから連れて行くのだ。余人には、秘密の場所など教えたくない。私は清麿だけに……見せたいのだ」




「……ばか」




どうしてお前は、そんなセリフ言うのかな




「清麿、散歩に行こう」




そんなセリフ言われたら

拒めなくなっちまうじゃないか




「清麿。」






「…ああ」






俺は控えめにそう呟くと、抱き締めているガッシュの腕に手を沿わせた。






ホントバカなんだ
王様のくせに

俺なんかが一番大事で、
いつもはしゃっきりしてるクセに
俺の事になるとすぐバカになる。


本当にバカ





でも……
だから
俺はガッシュから離れられないんだろうな



だって、
別れて今以上にバカになったら、心配だから



俺もある意味
バカなのかな…





(2006/05/18)
    
意地悪ハニー

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「好きなのだ清麿」

その体を寄せ、首筋に口付ける。
白いその肌についた赤い後が、確かに自分を興奮させた。

「ん……」

ゆっくりと首筋から肩へ顔を落として、鎖骨へ舌を這わせると、かすかな反応が返ってきた。

「ガッ…シュ」

切なげに名前を呼ばれ、胸が高鳴る。
これほど興奮するのは、清麿といる時だけだった。
名前を呼ぶ声が心地いい。
いつもはまともに名前さえ呼んでくれないのに、この時だけは、清麿は自分の名前だけを口にしてくれた。

「清麿…好きだ……大好きなのだ…」

「うん…」

掠れた言葉に優しい肯定が返ってくる。答えてくれることが何よりも嬉しかった。



けれど




「んっ……もう、ガッシュ…やめろ」


ほら、また


「どうしてなのだ?」

少し熱に浮かされながら問うと、清麿は眉を寄せた。

「どうしてって……これ以上続けたら……お前止まらないし…」

いつもの顛末を思ってか、清麿は少し頬を赤らめた。
可愛いとは思えたが、生憎今はそれに流される訳にはいかない。

「良いではないか。清麿も嫌いではなかろう?」

それは本当の事だ。
清麿はなんだかんだ言っても、最後には必ず悦んでくれる。
「だからっ…そう言う問題じゃなくて!明日も早いだろ!!」
なんだ、そういう事か。
辟易して、清麿に不満げな顔を披露した。

「それがなんなのだ。それ位どうってことないのだ」

そう言って
次に返ってきたのは



「ガぁ~ッシュ!!?」




恐ろしい般若の顔…



「テメェ前もそう言って遅刻したよなぁ!?何度も何度も!!その度俺がどんなに恥ずかしかったか…」

ゴゴゴ…と重苦しい効果を背負い、清麿は睨んでくる。
…もうこうなると、手が出せない。

「べ、別に良いであろう!?私は王だし、それに清麿だってさっきは…」

慌ててそう反論したら、清麿は赤くなった。

「だ…だからっそれは流されただけだっ!!」
「だったら流され続けて欲しいのだ!!」


それが、なぜか逆鱗に触れたらしい…
気づくと清麿は世にも恐ろしい顔をしていた…



「もういい!!そう言うなら、もうヤらないからな!!」



「っ!!!!!!
き…清麿…!!」


そんな殺生な


「清麿!!すまぬ、これからは早起きするから、それは…それだけはぁ~!!」





ああ、どうして自分の恋人は意地悪な性格なんだろう








(2006/05/19)

mail

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『今日は何した?』


それが、一番最初に書いてあるお約束の言葉。




『学校行った後、ガッシュの訓練に付き合って、いま風呂入って来た』

いつも清麿の文面は単調で、正直可愛げが無い。

「そ、そうか…じゃあ明日は何をするんだい?」

こっちは少しでも清麿との話を続けたくて、なんとか話を繋いだ。勿論、面白いように顔文字や絵記号をたくさん使って。
で、帰って来たのは

『また学校。多分明日は雨だし訓練も出来ないだろうから、家で勉強してる』

また素っ気ない、感情の見えない返信。
思わず溜息を吐いて、ソファーの背もたれに顔を埋めた。

(…やっぱり会いたいなぁ……)

とは思うけど、当然会えないのは解っていて。…大体、ここは今日本から遠すぎるし、お互いに今いる地を離れられない。

だからメールで連絡取って、この気持ちを治めているのに。



「そうかぁ…私も当分はミラノの仕事なんだ……
学校かぁ、じゃあ明日も早起きしなきゃね。
お休み。」



がっかりしながらそう打って、携帯電話を閉じた。
何だか悲しくなってきてしまったからだ。
メールでもいいから、愛しい人を感じたかった。
でも、こんな小さな機械に代弁させた機械の文字の短い手紙なんかじゃ、ちっとも満たされない。
打てば打つたび恋しくなって。
打つたびにこの距離がもどかしくなって……



「……え?」



軽快な音楽がふっと耳元で聞こえて、急いで顔をあげた。

そこには、メールが来たことを知らせる光の点滅。

急いで確認すると、そこには




『いつか、あいたいな』




―可愛げもない平仮名だけの文字。
だけど、きっとこれは清麿なりの精一杯の…




慌てて、返信した

「私も会いたいよ、会って、清麿を抱きしめたい」




『……バカ』




どうしてか、今はその一言だけで、清麿がどんな表情をしているか解って。

「ああ。私は清麿の事にはバカになるからねv」

そう打って、返事を待つ。
意外と早く、清麿は答えてくれた。

『…お前恥ずかしい。…もう寝る。』

もう終わりか
そう思った時、まだ続きがある事に気づいた。画面をスクロールさせると




『……ありがとう
…お休みなさい』




メールじゃ満たされない。
それは間違いだったようだ。


そう思うと、ふっと笑って、そのメールにキスをした。









(2006/05/20)



------------

花園の花は、枯れない。
それは魔力で命を延ばされ、枯れてもすぐに摘み取られてしまうからだ。


「…フン」
ゼオンは花園を見やって、鼻を鳴らした。
―命を無理に伸ばし綺麗なままで残すなど、悪趣味以外のなんでもない。
命は限りある事で命と言えるのに。

そう半眼で思いながら、ゼオンは城へ続く平坦な道を見た。

「ん…?」

木陰にしゃがむ姿が一つ。その雰囲気から察して、ゼオンは口元を緩めた。
「清麿、どうした」
「ゼオン」
そう言って笑む顔は、昔に仰いだ笑顔と寸分違わぬ顔。
まるで時が止められたような…



(そうか…清麿もそうだったな)



王が決定した時から、清麿は時間を、命を止められた。それは王の魂を半分宿す清麿を死なせないため。…そんな強引な魔物の掟によって、清麿は王の為、人間としての全てを奪われてしまったのだ。


(……)
「ゼオン見てくれよ」
清麿は笑いながら地面を指差す。
何事かとゼオンは下を見て、目を瞬かせた。
「これは……野草の花…」
「綺麗だろ?」
「だが花園の花より地味だな」
率直な感想を述べると、清麿は眉をしかめた。
「お前感動薄いなー」
「…と言われても」元々感情の起伏がないゼオンなのだ。
感情を揺さぶれと言われても無理難題だった。
それを思い出したのか、清麿はすまなそうにすると、野草に触れた。
「…ほら、ここってこんな花咲かないだろ?地味で、小さくて、珍しい」
「……」
ゼオンは、清麿の寂しげな瞳を見て、苦い顔をした。


「…なんかさ、似てるなって」




その悲しみを含んだ声が、何よりも胸を突き刺した。


――どうして…どうして命を他者に奪われたお前が苦しまねばならんのだ…


ゼオンは歪みそうになる顔を抑えながら、野草をみた。
「ゼオン…?」
清麿の問い掛けに答えず、ゼオンは野草に手を翳した。
そうして、何事か呟く。

「何を…」
「……」

清麿の問いに、ゼオンは立ち上がった。

「…守りの術をかけた。…これでいいだろう」

その言葉に清麿は一瞬驚いて…



華やかに笑った。



「…ありがとう」
「フン」



その笑顔を横目で見ながら、ゼオンは少しだけ、笑みを漏らしたのだった。





君が苦しまないなら
君が笑ってられるなら
私はそれを防ぐ盾となろう
だから悲しまないで

例え君の「大切」になれなくとも構わない



一生守るから



だから
笑っていて







(2006/05/21)
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