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恋人、というものは、一体どういうものなのだろうか。

床に体を預けて、バルカンを天井へ掲げながら、ガッシュはふと考えた。
「私と清麿はパートナーなのだ」
こいびと、とぱーとなーは、文字も発音も違うことからして、異なる物だとは思う。けれども二つは、ガッシュにはとても似ているものに思えた。
恋人、と呼ばれている二人は、いつも一緒だ。手を繋いだり、笑い合ったり、時に抱き合ったりもする。
二人でいる事が楽しい。
そういっているようだった。
コレが恋人の、ガッシュにとっての定義である。
「しかし、そんな事は私達もしておるのだ」
恋人、という呼び方でなくても、自分達だってそれくらいの事は日常茶飯事だった。
抱きつくし、笑い合うし、いつも一緒だし、ガッシュがねだれば、清麿はなんだかんだと言っても手を繋いでくれる。相違はあまり見られなかった。
しかし、とガッシュはバルカンを抱いて横に寝そべる。
「清麿は恋人では無い、というのう」
一度この質問を投げて、怒り混じりの返答をされた。顔を真っ赤にして怒る清麿に何故そんなに怒るのだと言っても、相手は兎に角違うの一点通しだった。
理解力はいいと自覚しているが、それだけではどうして違うのかも理解出来ない。
しかし、清麿は決定的な相違を話してはくれず。
結局ガッシュはその違いを、今日もこうしてもんもんと悩んでいるしかなかった。
「何か違うのかのう……?」
全く解らない。
いままで付けっぱなしにしていたテレビに目を向けて、ガッシュは面白く無さそうに目を細めた。
何故、パートナーと恋人は違うのか。
(同じで良いではないか。私はパートナーが嫌、というわけでは無いが、恋人という称号も使ってみたいのだ)
パートナー、恋人、どちらも仲睦まじい二人に送られる、喜ばしい称号。
喜ばしいなら、二つあったらこれ以上のものになるのではないか。
ならば、もう片方も欲しい。
清麿と喜ぶことが出来るなら、もう一つの称号も貰いたかった。
「しかし……難しそうだのう……。相違、というのを見つけられれば、もう一つも容易く手に入りそうだと言うのに…」
恋人と殆ど同じことを、ガッシュと清麿は行っている(それはパートナーと酷似する行為だけだが)。ならば、後は「違う部分」を見つけられれば、多分容易く……。
「ウヌ?」
そう思っている時、テレビからなにやら楽しそうな女の声が聞こえた。
パッと顔を上げてみてみると、夜の町中で抱き合っている若い男女。
恋人だと、ピンと来た。
思わず身を乗り出して、何か情報が無いかと食い入るように見る。
そんなガッシュの視線も構わずに、テレビの中の二人は抱きあったまま見つめあい、顔を近づけ、そして……
「! そうか、コレだったのだな!!」
テレビで披露されたその「相違」を見て、ガッシュはようやく解決と手を打った。
この行為は、まだやった事が無かった、というか、知らなかった。こんな簡単なことをやるだけで称号が手に入るとは、知らなかった。
これでようやく、清麿と「恋人」になれる、と、ガッシュはにんまりと笑んだ。

「ただいまー」

玄関の方から、気だるそうな声が聞こえる。
一番会いたかった人だ。ガッシュは跳ねる様に起き上がり、バルカンの手(?)を取って玄関へと駆け出した。
「き~よ~ま~ろ~!!」
声が嬉しそうでならない。何でも清麿と一緒、と言うのがガッシュには嬉しくてたまらないようだ。どんなことでも、清麿と必ず一緒に行いたかったのである。
ばたん、と玄関で跳ぶ音がする。
そして、清麿の面倒臭そうな声が聞こえた。
「ひっつくな」
しかし、ガッシュは慣れっこなのか、それとも無視しているのか離れないようで。ガッシュは、そんな不機嫌な声の清麿に笑いながらその口に……




「何しやがんだてめぇええぇええ!!」

「ヌォオオォオ!!?」






どうやら、恋人という称号をもらうには、まだ何か相違があるらしい。



その「何か」を宿しているのに、まだ気付かない、ある日のガッシュと清麿だった。









(2007/01/07)
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