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サイトでの小話の収納場所です。企画と平行してUPしていきます。
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俺の家に、一人の『野郎』がやって来た。




「清麿ー!」
時は夜半。空には月と星。風も無く静まり返ったその時間に、元気すぎる声が駆けて来た。
「……」
清麿はその声に顔を思いっきり歪めると、ベッドへ入り込んで扉に背を向ける。
これからやって来る者に、関わりたくなかったからだ。
眠たくも無いのに寝なければいけないと言うのも辛かったが、そうしなければもっと厄介な事になる。それを重々承知していた清麿は、そうするしかなかったのだ。
「清麿っ!」
声がして、ドアが勢いよく開けられる。
もうきやがったかと舌打しそうになったが、堪えて狸寝入りを決め込んだ。
「ウヌ? 清麿……寝ておるのか?」
声が近づいて来る。
自然と強張る体を何とかリラックスさせ、清麿はその声の主がさっさと自室を出て行ってくれる事を祈った。だが。
「…………」
(なんか、なんか近いって!! 息遣いめっちゃくちゃ聞こえてくんじゃねーかっ!!)
あろうことか、物凄ーく近くから、そりゃあもう、こちらが苦しくなるほどの呼吸を相手は響かせているのである。
何のかんの言う前に、キモイ、という単語しか清麿の頭の中には思い浮かばなくなる。
「清麿」
(ギャーッ!! 近い、近いってなにやってんだコイツ!!)
息が近づいてくる。ベッドが軋んで、後ろから何かがやってくるのが解る。
多分これは、多分……。
「きよま」
「近付くんじゃねぇええええ!!!」
頭が遂に考える事をやめたのか、それとも息遣いに切れてしまったのか、清麿は我慢できずに後ろに居た声の主を、殴り飛ばしてしまった。
「ヌォオオオオ!」
綺麗に放物線を描く鼻血を出しながら、扉の前まで吹っ飛んだのは……男。
しかも、まだ幼い少年……。
その姿を見て、清麿は角を生やした。
「ガァアアッシュ……人の寝込みを襲うたぁいい度胸じゃねぇか……」
蛇のような舌をちろちろと出しながら、般若の顔でそう言えば、相手は鼻血を出しながら何かを抱えてすぐに起き上がった。
「仕方なかろう! 清麿はいつまで経っても私を受け入れてくれぬでは無いかっ それでは秘儀が完成せぬのだ!」
金の髪を靡かせて、とんでもない事をいうガッシュに、清麿は眉を吊り上げた。
「そっちの都合で夜這いされて堪るかってんだ! 大体俺は女じゃねえんだぞコラァ!!」
「我らが『波夷羅一伝無双流・本尊歓喜法』は愛し合っている者同志が交わらねば始まらぬのだぞ! 私が他の女と交わってもなんの意味も無いのだ」
その台詞に頭がぐらりとする。
酔った、とかそういう事ではなく、ただ単に相手の言っている事があまりにこちらを無視しているので、眩暈が起きただけである。
清麿はそれでも負けずに、ガッシュを睨んだ。
「だからって迫ってくんなよ!!」
「仕方なかろう、十二神将の和平のためなのだ。私達が交わらぬと、永遠にわだかまりは解けないのだ」
そういいつつ、頬を染めるガッシュ。
ああ、なんともませている。
しかし、成りは小さくとも相手は「辰」の後継者。無理に迫ってくれば勝てないことは解っていた。けれど、絶対
絶っっ対、こんな子供(しかも男)とは性交したくなかった。

と、いうか、どうやってこんな子供を相手すればいいのだ。

「俺には関係ねぇ!」
「またまた~照れるでない、清麿! まあ、最初はまだ慣れぬだろうという事は解っておる。なので、コレを持ってきたのだ」
「……人の話を聞け……」
ガッシュは項垂れる清麿に構わず、持っていた謎の物体をコチラに見せ付けた。
力なくそれをみて、清麿は眉根を寄せる。
枕……枕では有るが、それには何か書いてあり、普通のものではないと解る。
合わなくなりそうになる目の焦点を合わせて、清麿はうんざりした声でつぶやいた。
「……YesNO枕か……」
そう。新婚さんがいらっしゃいされる番組で貰えるそれを、ガッシュはコチラへ掲げてきたのだ。
「いや、違うのだ!」
「……は?」
爽やかに否定されて、思わず疑問符が頭に浮かぶ。
その枕の何が違うのだと無言で問う清麿に、ガッシュは誇らしげに鼻を鳴らすと……
その枕を、裏返しにした。
そこには。
「これはYesNOではなく……



Yes OK 枕なのだ!!」




ああ、裏側にくっきりと、OKの文字が見える。
ハートの中に、OKと描かれている。
確かにNOではなく、YesOK枕だ。
間違いようは無い。
が。
「ガァアアアアアッシュ!! いい加減にしろーーーーッ!!!」
「な、何故怒るのだ清麿ーーーっ!!?」
そんなモン渡されてたまるか。
と言わんばかりに魔王へと変化した清麿に、ガッシュは目を飛び出させんばかりに驚きながら、そのまま――思いっきり拳骨を喰らったのだった。



これが、彼らの毎度の夜の出来事である。










(2007/03/27)
変な所切り取ってすみませんorz
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